• 経営・企画
  • 公開日:

デザイン経営とは何か?ビジネスにイノベーションをもたらす新戦略

デザイン経営とは何か?ビジネスにイノベーションをもたらす新戦略

デザイン経営は、もはや大企業だけのものではありません。ユーザーの潜在ニーズを掘り起こし、独自のブランド価値を築くこの手法は、むしろ小回りの利く中小企業にこそ劇的な変化をもたらします。
本コラムでは、デザイン経営の本質から、AI・サステナビリティといった最新トレンドとの掛け合わせまでを網羅的にガイド。さらに、実際に増収増益を実現した企業の共通点とは何か? 専門部署がなくても明日から始められる「最初の一歩」を提示し、貴社の価値を最大化するヒントをお届けします。

目次

デザイン経営や組織の競争力強化において、このような不安や課題を抱えていませんか?

  • 良い製品なのに価格競争から抜け出せず、収益性が上がらない
  • 「デザイン経営」という言葉は知っているが、導入の第一歩がわからない
  • デザインを「装飾」と捉え、経営や戦略への繋げ方が見えない
  • デザイナー不在の中小企業では、実践は難しいと思い込んでいる

本コラムでは、千葉工業大学教授・長尾徹氏の監修のもと、デザイン経営の本質から、AI・サステナビリティといった最新トレンドとの掛け合わせまでを徹底解説します。 単なる見た目の改善を超えた、「ユーザーに選ばれる理由」を自ら創り出し、組織の創造性を最大化する経営戦略の秘訣を学びましょう。

\関連講座はこちらから/
無料eラーニング
ケースで学ぶマーケティング入門

1.デザイン経営とは何か?

「デザイン経営」とは、デザインの考え方や手法を経営の中心に据える経営手法です。
デザイン経営宣言では、 デザインの役割を「人々が気づかないニーズを掘り起こし、事業にしていく営み」としています。
また、デザイン経営の効果を「ブランド力向上とイノベーション力向上が企業競争力の向上につながる」と明記しています。

このように、デザイン経営は見た目の改善にとどまらず、ユーザーの潜在ニーズを踏まえて事業や組織のあり方を再構築する経営手法です。

2.なぜ今、デザイン経営が注目されるのか

デザイン経営が注目される背景には、市場構造の大きな変化があります。

機能や品質だけでは差別化できない時代

市場には製品・サービスがあふれ、かつてのように「良いものを作れば売れる」時代は終わりました。
現在は供給が需要を上回り、「選ばれる理由」 がなければ売れない時代へと移行しています。
ユーザーは機能や価格だけでなく、体験価値や共感を基準に企業を選ぶようになっています。

無形資産の価値が競争力の源泉になっている

ユーザーが評価する対象は、製品そのものだけではありません。

  • 企業の理念やパーパス
  • ブランドの世界観
  • 顧客体験
  • 社会的な姿勢

といった 無形資産に価値を見出し、共感できる企業を選ぶ傾向が強まっています。
こうした「目に見えない価値」こそが、企業の競争力を左右する時代になりました。

顧客ニーズの多様化と変化のスピード

市場の変化は早く、顧客の行動や価値観も多様化しています。
従来の延長線上の改善だけでは、複雑化したニーズに対応しきれず、競争力の維持が難しくなっています。そのため、ユーザー視点で課題を捉え直すことが必要不可欠です。

こうした背景から、ユーザー視点で事業や組織の方向性を再定義するデザイン経営が、
持続的成長のための重要な戦略として注目されています。

マーケティングの基礎知識習得で、戦略的な人材育成・強化!
eラーニング「マーケティングとは?(入門)」の一部を無料でお試しいただけます。

無料トライアルeラーニング
「マーケティングとは?(入門)」を見る

3.デザインからデザイン経営へ

デザイン経営を理解するうえで欠かせないのが、「デザイン」や「デザイン思考」との関係です。
ここでは、デザイン、デザイン思考、デザイン経営の関係性を整理していきます。

デザイン:想いを形にし、価値を“創造する営み”

一般的に「デザイン」というと「見た目の美しさや造形を表している」と思われますが、本来のデザインはもっと広い概念です。

狭義の
デザイン
グラフィック、プロダクト、インテリア、Web、UI/UX など、
具体的な形や体験をつくる行為
広義の
デザイン
戦略・組織・プロセスなど、目に見えない仕組みの「あり方」を設計する行為

デザインの語源である Designare は「計画に基づき作る(創る/造る)こと」「創ること/考案すること/意図すること」を意味しており、日本語の「意匠」も「想いを形にするための技術や方法」を示すものだと言えます。
つまりデザインとは、「目的に応じて最適な形や仕組みを構想し、実現すること」と捉えることができます。

デザイン思考:価値を生み出す“実践プロセス”

デザイン思考は、ユーザーの行動や感情を丁寧に観察し、潜在的な課題を見つけ、試行錯誤を通じて解決策を形にしていくためのプロセスです。

  • 共感(ユーザー理解)
  • 課題発見
  • アイデア創出
  • プロトタイピング
  • ユーザーテスト

これらのプロセスを必要に応じて行き来しながら、アイデアを磨き、ユーザーにとって価値ある解決策を導いていきます。曖昧な状況下でもユーザーの潜在的なニーズを捉え、発散と収束を繰り返しながら可能性を広げていく点が特徴です。

デザイン経営:価値創造を企業全体に広げる経営手法

デザイン経営は、デザイン思考で得られた洞察や価値創造の方法を、経営戦略・組織づくり・ブランド構築といった企業全体の活動に取り込む取り組みです。
現場レベルの改善にとどまらず、

  • 企業の方向性の再定義
  • ブランド価値の向上
  • 新規事業の創出
  • 組織文化の変革

など、より広い視点で価値を生み出すことを目的としています。デザイン経営の特徴は、ユーザーのニーズや感情を起点に、事業や組織のあり方を再構築していく点にあります。

マーケティングとは?基本の知識を学びます。
eラーニング「マーケティングとは?(初級)」の一部を無料でお試しいただけます。

無料トライアルeラーニング
「マーケティングとは?(初級)」を見る

4.デザイン経営がもたらす効果とメリット

デザイン経営を導入することで、単なる“見た目の改善”にとどまらない、本質的な価値創造を実現できます。ここでは企業を伴走支援する中で実際に見えてきた変化も踏まえながら、特に中小企業にとっての効果とメリットを解説します。

①ユーザー理解が深まり、価値ある商品・サービスが生まれる

デザイン経営の中心にあるのは、ユーザーの行動・感情・課題を深く理解する姿勢です。ユーザーの潜在ニーズを捉えることで、既存商品の改善点が明確になり、 新しい価値提案が生まれ、“選ばれる理由”が強化されます。商品・サービスの価値が高まり、顧客満足度の向上につながります。

②ブランド価値が高まり、価格競争から脱却できる

ユーザーは機能や価格だけでなく、企業の理念・世界観・姿勢といった無形の価値に共感して選択しています。 デザイン経営を取り入れることで、企業のビジョンが明確となり、ブランドに一貫性が生まれ「自社らしさ」が伝わりやすくなります。その結果、価格競争に巻き込まれにくい強いブランドを育てることができます。

③組織全体の思考力が高まり、社員が自走するようになる

デザイン経営は、対外的な価値創造だけでなく、組織文化の変革につながります。課題を自ら見つける力、仮説を立てて試す力、多様な視点を取り入れる力、失敗から学ぶ姿勢といった“自走する組織”に必要な能力が育ち、変化に強い企業体質が形成されます。

④イノベーション創出が促進される

デザイン思考を活用した課題発見やアイデア創出のプロセスは、新しい価値を生み出す土台になります。デザイン経営では、その成果を経営戦略に取り込み、新規事業・サービス開発・業務改善などに活かすことができます 。顧客のニーズを捉えた新商品、既存事業の再構築、新しいビジネスモデルの創出など、イノベーションの芽が生まれやすくなるのが大きな特徴です。

⑤無形資産が蓄積し、企業価値が継続的に高まる

デザイン経営は、短期的な売上向上だけでなく、長期的な企業価値の向上に寄与します。蓄積される無形資産としては、ブランド、顧客との関係性、組織文化、ノウハウ・プロセス、社員の思考力などが挙げられます。 これらは財務諸表には現れにくいですが、企業の持続的成長を支える重要な資産です。

このようにデザイン経営は、顧客理解・価値創造・ブランド構築・組織変革・イノベーションの創出など、複数の領域に同時に働きかけるため、中小企業にとっても非常に効果の高いアプローチです。 単なる「デザインの活用」ではなく、企業の未来をつくるための経営手法として、デザイン経営を導入する価値があるといえるでしょう。

マーケット分析や戦略立案に活用!マーケティング知識を学びます。
eラーニング「マーケティングとは?(中級)」の一部を無料でお試しいただけます。

無料トライアルeラーニング
「マーケティングとは?(中級)」を見る

5.デザイン経営導入のポイント

デザイン経営は、特別な専門部署がなくても段階的に導入できます。経済産業省「デザイン経営宣言」の考え方を踏まえ、実務で取り組みやすいように導入のポイントを解説します。

① ユーザー理解を深める仕組みをつくる

ユーザーインタビュー、行動観察、カスタマージャーニーなどを活用し、ユーザーの潜在ニーズを捉える仕組みを整えます。
ここで得られる洞察が、事業やブランドの方向性を決める基盤になります。

② 小さく試し、学びながら改善する文化を育てる

複数のアイデアを出し、簡易なプロトタイプを作成してユーザーに試してもらいます。
完璧を目指すのではなく、小さく試し、改善を重ねることで、実現可能性の高い解決策が見えてきます。

③ アジャイル型の進め方を取り入れ、変化に強い体制をつくる

短いサイクルで改善を繰り返すアジャイル型の進め方を取り入れることで、市場やユーザーの変化に柔軟に対応できるようになります。

④ 取り組みを可視化する指標(KPI)を設定する

顧客満足度、ブランド認知、新商品開発のスピードなど、企業の目的に応じた指標を設定し、定期的に検証します。
取り組みの質を高め、継続的な改善につながります。

⑤ 経営レベルでデザインを扱う体制を整える

デザイン経営を本格的に機能させるには、デザインの視点を経営レベルの意思決定に反映させることが重要です。
デザイン責任者(CDOなど)を配置し、経営会議に参画させることで、事業戦略・ブランド・顧客体験を一貫した視点で設計できるようになります。
※中小企業では、外部パートナーがこの役割を担うケースも多くあります。

ケースによる学習で、実践的なスキルを身につけます。
eラーニング「ケースで学ぶマーケティング入門」の一部を無料でお試しいただけます。

無料トライアルeラーニング
「ケースで学ぶマーケティング入門」を見る

6.デザイン経営導入のファーストステップ

デザイン経営を実践していくうえでは、手法を学ぶだけでなく、組織としての土台を整えることが重要です。企業規模を問わず取り組みやすい「最初の一歩」を紹介します。

まずは「MVV」を言語化し、方向性をそろえる

デザイン経営の基盤となるのは、「私たちは何のために存在しているのか」という企業の根本的な問いです。
ミッション(存在意義)・ビジョン(目指す未来)・バリュー(大切にする価値観)を整理し、 社内で共有できる形にしておくことで、価値創造の議論が進めやすくなります。ここでは、完璧な言葉をつくる必要はありません。まずは経営陣が仮説として方向性を示し、対話の土台をつくることが大切です。

社員と一緒に考える“対話の場”をつくる

経営陣がまとめた言葉を掲げるだけでは、現場の納得感にはつながりにくいものです。 そこで、社員が自分の言葉で「自分たちの仕事は誰のどんな価値につながっているのか」を考える場をつくると、組織全体の理解が深まります。
付箋を使った意見出しや、特許庁の「デザイン経営コンパス」(後述)を活用した対話など、現場の視点を引き出す方法はさまざまです。経営陣の仮説に現場の声を重ねることで、“共につくる理念”へと育っていきます。

小さく始めて、徐々に広げていく

デザイン経営は、いきなり全社で大きく変える必要はありません。まずは小さなプロジェクトや一部の部署から取り組み、 成果や学びを確認しながら広げていく方が、組織に無理なく浸透します。小さな成功体験が積み重なることで、 共感や参加意欲が自然と高まり、結果として組織文化として根づいていきます。

無駄な会議をガラリと変える!誰もが主体的に関わり出す!組織のビジョンやパーパス創り・チームビルディングのための体験型研修。

集合研修・オンライン
「レゴ®シリアスプレイ®のメソッドを活用した、パーパス創り&チームビルディング研修」の詳細をみる

7.国内外に見るデザイン経営の成功事例

デザイン経営の考え方は、世界の企業でも広く実践されています。ここでは、国内外の代表的な企業の事例を3つ紹介します。

Apple(アメリカ)

Appleは、iMac、iPod、iPhone、iPadなど数多くのヒット商品を生み出し、世界中から支持され続けている企業です。これらの製品に共通しているのは、機能性の高さに加え、 必要な要素だけを残したミニマルで洗練された外観デザインです。製造工程においても、従来の製造方法やコストにとらわれず、実現したいデザインに合わせて設備を導入するなど、徹底したこだわりを持っています。 また、製品の設計だけでなく、パッケージや店舗デザインなどユーザー体験全体を統一していることも特徴です。この一貫した体験設計が、Appleの強いブランド力とファンの支持につながっています。

ダイソン(イギリス)

ダイソンは、紙パック不要のサイクロン掃除機や羽のない扇風機など、従来の常識を覆す革新的な製品を生み出してきた企業です。 エンジニアがデザインを考える独自の方法を採用し、既存の枠にとらわれない発想で製品開発を行っていることが特徴です。
また、ユーザー視点を重視し、日常の些細な不満や不便を丁寧に拾い上げて解決する姿勢が、 イノベーションにつながっています。ダイソン独自の開発スタイルにより、革新的で実用性に優れた製品が次々と生まれ、家電業界に新たなスタンダードを確立しています。

良品計画(日本)

良品計画は、無駄を排除したシンプルなデザインと、高品質・適正価格を両立した生活用品を多数展開し、幅広いユーザーから支持されています。
カフェ、宿泊施設、不動産など幅広い事業を展開していますが、どの事業においても「無印良品らしさ」を感じられる一貫した世界観が特徴です。2019年には、企画から開発までの全工程でデザイナーや品質管理責任者が関わり、 「無印良品らしさ」を徹底して守る姿勢が高く評価され、デザイン経営を実践する優れた企業として経済産業省から表彰されました。

これらの事例に共通していることは、デザインを単なる見た目の装飾ではなく、企業の価値創造の中心に据えている点です。ユーザー体験の設計、ブランドの一貫性、徹底したこだわり、そしてデザイン思考を組織全体で共有し実践していることが、企業の競争力向上につながっています。

8.中小企業のデザイン経営導入事例

デザイン経営の取り組みは中小企業でも成果が生まれています。ここでは国内の地域企業、伝統産業や製造業などが「自社らしさ」を再発見し、社員教育やブランド価値向上につなげた具体的な取り組みをご紹介します。
事例を通じて、規模や業種に関わらず自社に応用できるヒントが見えてくるでしょう。

オカムラホーム(千葉県)

オカムラホームは、地域に根ざした住宅事業を展開しながら、「暮らし全体を支える企業」としての進化を目指してきた。事業の拡大とともに、組織の価値観や顧客との向き合い方を見直す必要性が高まり、 外部パートナーと協働しながらデザイン経営の考え方を取り入れました。

共創プロセスがどのように機能したか

・経営の意図が現場に届くようになった
経営課題やブランドの方向性が整理され、現場が理解しやすい言葉に翻訳されたことで、経営層と現場間のズレが解消されていった。
・デザイン思考を共通言語として導入
新入社員教育として「デザイン思考検定」を受検し、全社で“顧客視点で考える”姿勢が共有されるようになった。
・専門性を高める学びの機会を整備
デザインコーディネーター資格の受講を通じて、社員が顧客価値創造・ブランディング・DXの関係性を理解し、実務に落とし込む力が高まった。

どんな変化が起きたか

・顧客視点での判断が増えた
住宅を建てることだけでなく、暮らし全体を支えるという視点が強まり、サービス設計や業務フローの見直しが進んだ。
・社内のブランディングと社外のブランディングがつながり始めた
社内の共通言語が整い、それが外部への発信にも自然とつながり、企業としての「らしさ」が明確になった。
・DX推進が自然な流れとして進むように
顧客データの活用や業務改善が現場主導で進み、デジタル化が“目的”ではなく“手段”として機能し始めた。
・人事領域にも波及
人事評価や人事業務の改善が進み、社員の成長とブランドの方向性が連動する仕組みが整い始めた。

組織文化・顧客価値・ブランドの変化

・「家を建てる会社」から「暮らしを支える会社」へ
同社は暮らし全体の価値を中心に据えたブランドへと進化している。
・共通言語が増え、文化として根づく
顧客体験・ブランド価値・デザイン思考といった概念が日常の会話に登場し、組織の文化として定着し始めた。
・増収増益という成果
ブランドの一貫性、顧客体験の進化、DX推進、人材育成が相乗効果を生み、増収増益を実現している。

これは、デザイン経営が組織変革と経営の質を高める取り組みとして機能した結果です。

そのほかの事例も観てみましょう。(特許庁『中小企業のためのデザイン経営ハンドブック2』より)

東洋ステンレス研磨工業(福岡県)

自社の歴史・技術・文化を棚卸しし、「金属化粧師」というブランドコンセプトを策定。
社員教育とブランド浸透を進めた結果、研磨請負業から金属意匠メーカーへ転換し、海外展開・採用力向上にも成功。

ベルニクス(埼玉県)

理念や戦略の曖昧さを解消するため、デザイン経営と知財を掛け合わせた共学を実施。
経営理念の再定義と社員参加型ワークショップにより、部門横断の共通言語が生まれ、新規事業の芽が育つ組織へ変化。

能作(富山県)

受託加工中心から脱却し、錫100%のオリジナル製品を開発。
産業観光を取り入れ、工場を開放したことで、「錫=能作」という強いブランドを確立し、地域活性化にも貢献。

【参考リンク】特許庁『中小企業のためのデザイン経営ハンドブック2』(2023年7月)PDF

4社に共通していることは、

  • 自社の強みを見つめ直す
  • 社員を巻き込み、共通言語を育てる
  • 顧客価値を再定義する
  • ブランドの“内側と外側”を整える

というプロセスを丁寧に積み重ねていることです。
オカムラホームでは、デザイン思考の導入や資格講座による学びを通じて、社内の共通認識が整い、顧客との向き合い方が変化しました。
その結果、ブランドの一貫性が高まり、DX推進や人事制度の整備にもつながり、増収増益という形で成果が現れています。
その他の中小企業の事例でも、伝統産業・製造業が、自社らしさを再発見し、社員教育やブランド価値向上へとつなげています。
デザイン経営は、組織の文化や顧客価値、事業の方向性を整えるための“土台づくり”であり、中小企業にこそ大きな可能性をもたらす取り組みといえるでしょう。

DXに取り組もうにも、まず必要なITの基礎〜全般的な知識が足りない方に、必要な知識をお伝えします!

集合研修・オンライン
「DX戦略入門研修」の詳細をみる

9.デザイン経営を支える支援ツール・リソース

デザイン経営は、企業単独で進めるだけでなく、公的機関が提供するツールや外部の専門家を活用することで、より効果的に推進できます。ここでは、中小企業が活用しやすい代表的なリソースを紹介します。

特許庁「デザイン経営ハンドブック」

特許庁が公開している「デザイン経営ハンドブック」は、デザイン経営の基本概念から導入ステップ、企業事例まで体系的に整理されたガイドです。初めて取り組む企業にとって、全体像をつかむための“入口”として非常に有効です。

活用例
  • 社内研修や勉強会の教材として利用し、経営層と現場の共通理解をつくる
  • 自社の取り組み状況を照らし合わせ、次に取り組むべき課題を整理する
  • 他社事例を参考にしながら、自社の強みや方向性を見直す

特許庁「デザイン経営コンパス」

「デザイン経営コンパス」は、企業が自社のデザイン経営の成熟度を客観的に把握し、今後の取り組みを検討するための「実践ツール」です。経営者と社員が対話しながら現状を可視化できるため、組織全体の方向性を揃えるのに役立ちます。

活用例
  • 経営者と社員が一緒にワークを行い、現状の強み・弱みを可視化する
  • デザイン経営の優先課題を整理し、次のアクションを明確にする
  • 社内ミーティングやワークショップで、共通言語づくりに活用する

ハンドブック、デザイン経営コンパスは単体でも使えますが、組み合わせることでより効果が高まります。

  1. ハンドブックで全体像を理解する
  2. コンパスで自社の現状を可視化する
  3. ハンドブックを参考にしながら施策を設計する
  4. コンパスで定期的に振り返り、改善する

連携させることで、デザイン経営を継続的に推進できます。

デザインコンサルタントとの協業・外部リソース

デザイン経営は、社内だけで完結させる必要はありません。外部のデザインコンサルタントや専門家と共創することで、短期間で成果につながるケースも多くあります。

外部リソースを活用するメリット

  • 自社では気づきにくい「潜在ニーズ」や「強み」を客観的に発見できる
  • ブランド構築やデザイン戦略など、専門性の高い領域をプロの視点で支援してもらえる
  • ワークショップや社員教育を通じて、組織全体にデザイン思考を浸透させやすくなる
  • プロトタイプやコンセプトを短期間で形にでき、スピード感を持って進められる

中小企業の場合、デザイン部門が存在しないことも多いため、外部の専門家との共創はデザイン経営の質とスピードを大きく高める手段となります。

創り上げた商品の形状やデザインが、簡単に盗用されないようにするには、意匠法の理解が不可欠です。
eラーニング「意匠法とは?」の一部を無料でお試しいただけます。

無料トライアルeラーニング
「意匠法とは?」を見る

10.これからのデザイン経営:AI・サステナビリティとの連携

社会や技術の変化に伴い、デザイン経営の可能性はさらに広がっています。
特にAIとサステナビリティの動向は、価値創造のあり方を大きく変え、そのプロセスに新しい視点をもたらしています。

デザイン経営とは何か?ビジネスにイノベーションをもたらす新戦略

AIとの連携による価値創造

AIは、ユーザー行動の分析や需要予測、プロトタイピングの高速化など、デザイン経営のプロセス全体を大きく支援する存在になっています。また、ユーザーインサイトの抽出やアイデア創出の補助、 デザイン案の自動生成、さらには顧客体験の最適化まで、幅広い領域でAIが「デザイン思考を拡張するツール」として機能しています。
特に生成AIはアイデアの幅を広げたり、試作のサイクルを加速させたりと、デザイン経営の実践を後押ししています。

「生成AIパスポート試験合格講座」資料を無料でダウンロード頂けます。

無料ダウンロード
「生成AIパスポート試験合格講座」の資料を見る

サステナビリティとの連携

サステナビリティは、社会貢献の枠を超え、企業が持続的に成長するための重要な経営テーマとして位置づけられています。デザイン経営と組み合わせることで、環境負荷の少ない製品設計や長く使えるプロダクトの開発、地域資源を活かした事業づくり、循環型ビジネスモデルの構築など、社会価値と経済価値を両立する取り組みが可能になります。
特に中小企業にとっては、サステナビリティを「自社の強みを再定義する視点」として活用することで、新たな市場機会を見いだすことができます。

SDGsの取組みを取り入れた企業活動を考えている企業・従業員向けに、SDGsについての理解を深めて頂きます。

集合研修・オンライン
「サスティナビリティ経営基礎講座」の詳細をみる

これからのデザイン経営に求められる視点

データと感性を統合した意思決定や、社会課題を起点とした価値創造、長期的な視点でのブランド構築、そしてユーザーと社会の双方にとって意味のあるデザインの追求など、企業が向き合うべきテーマは確実に広がっています。
これらは一過性のものではなく、「ユーザー価値 × 社会価値 × 企業価値」を同時に高めるための視点であり、デザイン経営を次の段階へと押し上げる重要な要素となっています。

まずはお問い合わせください!

LEC東京リーガルマインドは貴社の人材育成を成功させるため、集合研修・eラーニング研修・試験対策研修・ブレンディング研修まで、様々なプランをご用意しております。詳細資料のご請求やお見積りのご依頼は、お気軽に法人事業本部まで。

11.まとめ・総括:デザイン経営で企業競争力を高める

デザイン経営は、単なる見た目の改善ではなく、企業の価値創造そのものを再構築するためのアプローチです。 ユーザーの視点から課題を捉え直し、ブランドの一貫性を整え、組織全体で価値創造に向けて動くことで、企業は持続的な競争力を育てていくことができます。
本コラムで紹介したように、デザイン経営は大企業だけの取り組みではありません。
中小企業でも、自社の強みを見つめ直し、ユーザー理解を深め、社員を巻き込みながら段階的に進めることで、確かな成果が生まれています。
さらに、AIの活用やサステナビリティへの関心の高まりなど、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。こうした変化は、ユーザー理解を起点に価値創造するデザイン経営の重要性を一層高め、立場を超えて共に価値をつくる“共創”の重要性はこれまで以上に高まっています。

デザイン経営は、特別な企業だけが実践できるものではありません。
自社の強みを丁寧に見つめ、ユーザーの声に耳を傾け、組織全体で価値創造に向けて動き出すことで、どの企業でも取り組むことができます。
小さな一歩から始めることで、企業の未来は大きく変わります。

こちらもおすすめ【コラム記事】

LEC東京リーガルマインドのおすすめ研修

「選ばれる理由」を創り、経営戦略を強化するには

LECの経営層向け研修ラインナップはこちら

イノベーションを加速させ、DX化を推進するには

LECのIT・情報研修ラインナップはこちら

独自のブランド価値(知財・意匠)を保護し資産化するには

研修のラインナップ

学習目的別経営・企画研修

講師派遣・オンライン経営・企画研修

eラーニング経営・企画研修

監修者情報

長尾 徹(ながお とおる)

長尾 徹 氏

プロフィール 一般社団法人ブランディングデザイン協会 代表理事
千葉工業大学 前副学長、千葉工業大学大学院博士後期課程教授。
デザイン経営、デザイン思考、UXDなどのプロセスとHFEを融合し、 イノベーショナルな製品・システム開発プロセスを研究、様々な企業・地方公共団体とのプロジェクトで実践。 デザイン学会代議員、インダストリアルデザイナー協会会員、日経MJヒット塾アドバイザリーグループ等を歴任。

まずはお問い合わせください!

LEC東京リーガルマインドは貴社の人材育成を成功させるため、集合研修・eラーニング研修・試験対策研修・ブレンディング研修まで、様々なプランをご用意しております。詳細資料のご請求やお見積りのご依頼は、お気軽に法人事業本部まで。

PAGE TOP