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Z世代の新卒・第二新卒者の育成のために、
企業が準備すべきこと

Z世代の新卒・第二新卒者の育成のために、企業が準備すべきこと

昨今の新卒・第二新卒者は、いわゆるZ世代と言われ、管理職世代とは異なる価値観、仕事観を持っており、その違いをよく理解した上で、育成計画や研修を準備し、適切な定着支援を実行していく必要があります。Z世代がいきいきと活躍できる職場づくりを進めることは、同時に、組織の古い体質をアップデートするいい機会にもなります。

Z世代とは

アメリカのコンサルティング会社が提唱した言葉で、「1990年代半ばから2010年代前半に生まれた、現在9〜28歳前後の若者」を指します。主に小学4、5年生から20代の社会人が対象となっており、「デジタルネイティブである」ことが最大の特徴とされています。なぜZなのかについては、その前の世代の呼び名としてX世代、Y世代という名称が使われていたので、その流れで名づけられました。

Z世代の4つの特徴

(1)多様性を尊重
物心ついたときからインターネットに親しみ、様々なメディアで多様な価値観を体感。○○だからと一括りにされるのを嫌い、自分軸を持っている。
(2)情報収集力が高く慎重に判断
買い物や旅行など、ネットを通じて多方面から情報収集を行い、慎重に決断する。失敗経験が少ないため、「とりあえずやってみること」が苦手な面もある。
(3)不確実な将来に備え堅実志向
変化のスピードが速いIT社会やコロナ禍の影響で、将来の予測が立てにくくなっている現代社会では、より保守的に、堅実に物事を考える傾向にある。
(4)SDGsや社会問題への関心
気候変動や地球温暖化、貧困の格差問題など社会を取り巻く課題に関心を持っている。商品やサービスを選ぶ基準の1つになることもある。

更にZ世代の詳細を知りたい方はこちらをご確認ください。

Z世代が仕事に求めること

厚生労働省の「新しい働き方に関する研究会調査報告書」(2023年)によると、10代から20代のいわゆるZ世代が以下に示すような職業観や、仕事をする上で実現したい要求を持っていることが読み取れます。

(1)出世、昇給より自分がやりたい仕事で成長したい

Z世代は、内的報酬(仕事において自分の興味や好奇心を追求したい、自分のスキルや能力をいかしたい、自己成長したい)に対する欲求が総じて高く、出世や給与といった外的報酬を求めるより、自分がやりたい仕事で成長したいという要求が強いことが分かります。

(2)ワークライフバランスを重視したい

男女ともにZ世代は結婚しても共働きで、家事子育ても夫婦で分担する意向が強く出ています。また、多様な価値観から仕事以外の趣味や活動への意欲も高いので、たとえやりたい仕事であっても長時間労働はせず、オンオフの切り替えを重視するのがZ世代の働き方といえるでしょう。

(3)働く場所・時間に自由度が欲しい

Z世代の半数以上がフレックス制度やリモートワークを希望する意向があります。コロナ禍を経てオンラインでのコミュニケーションが日常となり、様々なツールを使いこなせるZ世代にとってリモートワークは非常に相性が良い働き方といえるでしょう。

(4)職場の居心地の良さを重視

給与が低くても、ノルマや競争が無く、ストレスが少ない環境を好む傾向が強く出ています。単独よりチームで仕事をすることを好み、働く場所が、安心・安全に過ごせる居心地の良い場であることを求めています。

参考:厚生労働書「新しい働き方に関する研究会調査報告書」(2023年)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001166380.pdf

新卒者が離職しやすい職場の特徴とは

新卒者の離職率は3年で約3割と言われています。これまでZ世代の仕事観等を述べてきましたが、Z世代である新卒者が、離職しやすい職場とはどういった環境なのでしょうか?
具体的なケースをもとに考えていきたいと思います。

事例①参加しない自由を認めてほしかった

薬学部卒業のAさんは、全国展開している大手薬局に就職しました。内定時から内定者向けのSNSに参加するように言われ、投稿しないでいると人事から「どうしたの?」といった個別メッセージが来るようになりました。入社後も飲み会やゲーム会等頻繁にお誘いがあり、断ると、また人事から個別連絡が。実はAさんは「推し活」に専念したいので、仕事以外に極力お金や時間を使いたくないのですが、周囲から「社内行事への不参加は許されない」という圧力を感じ、結局居心地が悪くなり、半年で退職してしまいました。

Z世代の新卒・第二新卒者の育成のために、企業が準備すべきこと

事例②入社後のギャップについていけない

車と機械いじりが大好きなBさんは念願の自動車パーツメーカーに就職しました。新卒入社者は3年ぶりだったため、入社まで親切丁寧に扱われ、とても良い印象を持って入社しましたが、待っていたのは親以上に歳の離れたベテラン技師からのOJT研修でした。細かいことばかり注意してくる一方で、肝心なことはあまり教えてくれません。ある時、何でも手作業でやろうとすることが非効率に感じたため、ある業務でPCを使うことを提案したら、それ以来きつい口調で怒鳴られるようになりました。周りも見て見ぬふりで、この環境にいたら心が壊れてしまうと感じるまでに。小さな会社なので他部署への異動もかなわず結局3カ月足らずで退職となりました。

Z世代の新卒・第二新卒者の育成のために、企業が準備すべきこと

事例③コンプライアンスが守られない職場

地域性を大切にしている金融機関に就職したCさん。自分が生まれ育った愛着のある地域に貢献できると思っていましたが、配属先では、男女で職種・賃金に差はないものの、なぜか女性職員だけが、お茶出しや机の拭き掃除の当番がありました。また、職員同士があだ名で呼び合う風潮があり、勝手に○○ちゃんと呼ばれるようになりました。さらに、ベテラン職員を中心に「地域のことは何でもお手伝いすべき」という固定観念があり、新人はお祭りや老人会などのイベント手伝いに無給で参加させられました。もちろん振替休日も取れません。給与は良かったものの、残業も多く、昭和な企業体質に嫌気がさし、1年後に転職しました。

Z世代の新卒・第二新卒者の育成のために、企業が準備すべきこと

上記の3事例から、Z世代が離職しやすい職場の特徴としては、多様性が認められない環境で、業務以外の活動に強制的に参加させられたり、参加へのプレッシャーが強い場合等が挙げられます。また、昨今の売り手市場の新卒採用では、しばしば入社後のギャップが問題になることがあります。
入社前に企業のいいところしか見せない・見えていない状態で、入社後の現実に耐え切れなくなるケースがあります。特に希望の仕事についたものの、自分の裁量が無く納得感の得られない仕事を押し付けられたり、昔ながらのやり方を年長者から教えられ従わなくてはならない場合などにストレスになる場合も多いようです。コンプライアンス面でもZ世代は感度が高いと言えます。
職場で安心安全が保たれていなければ、長く働こうとする意欲は無くなります。何がハラスメントにあたるのか、コンプライアンスを遵守できているかなど、企業人として最低限知っておくべきこと・守らなければいけないルールを日常的に軽視しているケースや、そもそも意識が低い職場環境である場合は、問題があるといえます。

Z世代が育つ・定着する企業の特徴とは

では、20代のZ世代がのびのびと育ってくれる、そして長く定着してくれるような職場環境をつくるにはどんなことに気を付けていけばよいのでしょうか。

これまで述べてきたZ世代の特徴や価値観、仕事に求めることなどをベースに考えていくと、職場で一緒に働く人たち、特に管理職世代や、チームのリーダーやトレーナーの立場になる人たちが、次のような意識を持つことが必要になってくると思われます。

リスペクト(お互いを認め合う意識)
  • その人らしさを尊重し、多様性を認める
  • 他人にレッテルを貼ったりカテゴライズしない
  • それぞれの立場を理解し、柔軟な働き方を推奨する
フラット・コミュニケーション
  • 上司、部下のタテの関係を強調しすぎない
  • チームの一員として尊重し、相互に意見を言いやすいムードをつくる
  • リーダーは、マイクロマネジメントより後方支援を重視する
コンプライアンス意識
  • 企業人として守るべき法律、規則、ルールを理解して遵守する
  • 何がハラスメントかを理解し発生させない風土づくり
  • 万一のときだれかに相談できる体制構築

新卒・第二新卒者を迎える前に準備すべきこととは

Z世代の若手社員が入社することは、会社の将来にとって非常に重要な意味を持ちます。会社の今後の成長を支える人材として、できるだけ長く力を発揮してもらうためにも、Z世代がのびのび育つ組織風土づくりを意識して準備していく必要があります。

今一度、以下の準備項目に沿って自社の組織風土を点検してみましょう。
これらを準備することで、より良い組織にアップデートされ、Z世代以外のすべてのメンバーにとって、良い効果が及ぶでしょう。

準備①

<管理者・リーダー層の意識チェック>
無意識に陥りやすい認識のずれや思考の偏りを修正し、適正な視点が持てているかを再度確認していきます。多様性を尊重し、相手の強みを引き出すコミュニケーションや関わり方を再確認していきます。
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準備②

<組織内のコミュニケーションの質を高める>
日常の何気ないコミュニケーションから、社員同士の信頼関係強化やモチベーションUPを引き出すことができます。逆に質の良くないコミュニケーションではやる気を損ねたりメンタルを弱めてしまうことも。チーム力を高めるコミュニケーションの在り方を学びます。
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準備③

<ハラスメントをしない・させない組織づくり>
パワハラ、セクハラ、カスハラ、マタハラ、ジェンダーハラスメントなど様々なハラスメントが問題視されていますが、相手や周囲が嫌な思いをすること=ハラスメントであることを理解し、それらをどう防ぐかを豊富な事例をもとに学んでいきます。
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監修者情報

反町 雄彦 そりまち かつひこ

株式会社東京リーガルマインド 代表取締役社長/弁護士

1976年 東京都生まれ
1998年 11月 東京大学法学部在学中に司法試験合格。
1999年 3月 東京大学法学部卒業。
4月

株式会社東京リーガルマインド入社、以後5年間、司法試験対策講座の講義を行い、初学者向けの入門講座から中上級向けの講座まで幅広く担当し、多くの短期合格者を輩出した。

2004年 3月 司法研修所入所。
2005年 10月 弁護士登録(東京弁護士会所属)。
2006年 6月 株式会社東京リーガルマインド取締役。
2008年

LEC司法試験対策講座統括プロデューサーを務め、以後、現在に至るまで資格試験全般についてクオリティの高い教材開発に取り組んでいるほか、キャリアデザインの観点から、多くの講演会を実施している。

2009年 2月 同専務取締役。
2011年 5月 同取締役。
2014年 4月 同代表取締役社長。
2019年 4月 LEC会計大学院学長

反町 雄彦社長

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