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社員のスキルアップにつながる副業って?
副業解禁で企業がやるべきことをわかりやすく解説
近年、多くの企業で「副業解禁」の動きが進んでいます。政府が働き方改革の一環として副業・兼業を推進していることもあり、大手企業を中心に、副業を認めるケースが増えてきました。
とはいえ、企業の人事部や経営者にとって、「副業解禁」は決して軽々しく判断できるものではありません。企業にとってプラスの側面がある一方で、マイナスのリスクも存在するからです。
本コラムでは、企業と従業員双方にメリットがある形で制度を整え、従業員のスキルアップを促し、企業成長につなげていく副業制度のあり方について考えていきます。
副業解禁・人材育成でこんなお悩みはありませんか?
- 副業解禁に伴うリスクが心配
- スキルアップ支援の仕組みがない
- 情報漏えい・労務管理が不安
- 副業の効果をどう測ればいい?
- 社員の意欲と成長を両立したい
本コラムでは、こうした課題に向き合うヒントとして、企業と社員双方にメリットをもたらす「副業制度の整え方」や、スキルアップを促進する研修・資格制度の活用方法をご紹介します。
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副業解禁が進んでいる背景
近年、少子高齢化による人手不足や終身雇用制度の揺らぎにより、企業は社員に長期的な安定キャリアを保証しにくくなっています。同時に、働く個人も「一社依存」では将来が不安定となり、複数の収入源やスキルを確保する必要性が高まってきています。
厚生労働省がまとめた「副業・兼業の現状と課題」(2017)※注1によると、多様で柔軟な働き方を実現するため、「労働者の健康確保に留意しつつ、副業・兼業を原則として認める方向で副業・兼業の普及促進を図る」とされています。
企業に対しては、合理的な理由がない限り、従業員の副業・兼業を認めるよう、就業規則の改訂を推奨しています。この方針を受けて、大手企業を中心に、徐々に副業解禁の動きが進んできました。
公益財団法人産業雇用安定センターの「従業員の「副業・兼業」に関するアンケート調査結果の概要」(2023)注2によると、従業員5,000人以上の大企業の場合、80%以上が、雇用による、又は、個人事業主としての副業・兼業を認めているという実態が明らかになっています。
注1 厚生労働省「副業・兼業の現状と課題」(2017)
注2 公益財団法人産業雇用安定センター「従業員の「副業・兼業」に関するアンケート調査結果の概要」(2023)
副業解禁 企業側の視点から
これまで副業を禁止してきた企業も、優秀な人材の流出防止や社員の成長機会の提供を目的に、解禁を検討せざるを得ない状況になりつつあります。では、企業側の視点で見た場合、副業を認めることで得られるメリットや必要な対応について、以下で見ていきましょう。
副業を認めた場合のメリット
■社員のスキルアップ
副業を通じて新しい知識やスキルを身につけ、その成果が本業にも活かされます。特にデジタルスキルや異業種での経験は、社内のイノベーションを生み出す源泉になります。
■社員のモチベーション向上
本業以外にも自己実現の場を持つことで、働く意欲が高まり、結果として、離職防止やエンゲージメントの強化につながります。
■企業ブランドの向上
副業を認める姿勢は、「柔軟な働き方を提供する企業」として対外的に高く評価されます。副業OKを条件に企業選びをする転職者も増加しており、人材採用の面でも大きなメリットがあります。
副業を認めた場合のデメリットとリスク
一方で、リスク管理を怠ると、副業は企業にとって脅威となる可能性があります。以下のような観点に配慮せず、想定されるリスクを放置してしまうと、副業解禁が、企業全体にマイナスの影響を及ぼすこともあります。
- ■ 過重労働による本業への支障
- ■ 競合他社での勤務による情報漏えい
- ■ 業務時間外の活動によるコンプライアンス違反
副業解禁に向けて〜企業が行うべきリスクコントロール
副業を認めるうえで重要なのは、社員に「適切な知識と意識」を持たせることです。具体的には、以下のような研修の実施が効果的です。
まず、過重労働による体調不良やメンタルの不調を防ぐために、セルフマネジメント研修、タイムマネジメント研修、健康管理などに関する研修やセミナーを通じて、社員の意識を高めることが大切です。
次に、機密保持やデータの持ち出し防止など、情報管理の基本を徹底させるための情報セキュリティ研修は必須です。一歩間違えば犯罪につながるリスクもあり、企業の信頼やブランド価値に直結する重要な分野です。
最後に、コンプライアンスに関わる研修も重要です。副業に関する禁止事項や法令遵守の理解を深めるための研修も、欠かせません。特に、個人事業主として副業を行う場合など、本業では関わらなかった視点が必要になります。
こうした研修を実施することで、副業のリスクを最小限に抑え、社員が安心して活動できる環境づくりが可能になります。
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副業は従業員のスキルアップにつながる
ここからは、従業員側の視点から、副業をすることの利点について見ていきたいと思います。
副業は、単なる収入増にとどまらず、従業員のキャリア形成に大きなメリットをもたらします。新しい分野での経験はスキルの幅を広げ、本業にも活かせる学びとなります。
特に、デジタル分野や異業種での仕事は、これまでにない発想や人脈を得るチャンスとなり、本業での新規開拓や開発に良い影響を与えます。
また、自分の得意分野を活かすことで自己実現を図り、働く意欲や満足度も向上します。さらに、スキルや技能の向上を求めるモチベーションにもつながっていきます。
副業は、キャリアの多様性と自立を実現する有効な手段であり、複数の収入源を持つことは生活の安定にもつながります。また、将来に対する安心感を高めてくれるでしょう。
ここで企業に提案したいのは、「副業を認めるだけでなく、社員のスキルアップを支援する仕組みを福利厚生として提供する」ことです。 例えば、資格取得やビジネス研修の受講費用を一部負担する制度を導入すれば、社員は安心して学び、本業・副業の双方で成果を出しやすくなります。
副業解禁を単なる制度変更に終わらせるのではなく、「社員の成長を企業が後押しする」姿勢を打ち出すことで、社内外からの評価が高まり、結果として企業の競争力強化にもつながります。

本業・副業どちらにも役立つ資格・研修って?
ここからは、具体的に、どのような資格やスキルを身に付けていけばよいかについて、分野別にみていきましょう。
①デジタル・IT系スキル
●資格:ITパスポート、生成AIパスポート、基本情報技術者、MOS(Microsoft Office Specialist)
○研修:データ分析入門、DX研修、クラウド活用研修
→ 本業では業務効率化や企画立案、マーケティング企画の提案などで力を発揮でき、特に、IT事業分野でのリーダーシップ発揮も期待できます。副業では、Web制作やデータ分析、コンサルティングなどの仕事に活用可能です。
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②ビジネス基盤スキル
●資格:日商簿記、ファイナンシャル・プランナー(FP)、ビジネス実務法務検定、秘書検定
○研修:ロジカルシンキング、プレゼンテーション研修、プロジェクトマネジメント
→ 本業での管理業務や企画力向上につながり、副業でもコンサルティングや講師業などで活かせるでしょう。
③語学・コミュニケーションスキル
●資格:TOEIC、英検、実用ビジネス英語検定、外国人雇用管理主任者
○研修:ビジネス英会話、異文化理解研修
→ 本業ではグローバルビジネス展開や海外案件対応に、副業では翻訳・通訳、外国人向けサービス窓口など幅広く展開が可能です。
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④キャリア&ライフデザイン
●資格:キャリアコンサルタント、コーチング関連資格、ファイナンシャルプランナー、不動産(宅建など)関連、福祉関連(障がい者雇用サポーターなど)
○研修:タイムマネジメント、メンタルヘルス研修
→ 自らのライフ(人生)とワーク(仕事)を主体的に描きつつ、副業を通じて他者支援や福祉や教育分野にも応用ができ、長い目で自身のキャリアを形成していくことができます。
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まとめ
副業は、企業にとって「人材の成長を促すチャンス」であると同時に、「リスク管理の課題」でもあります。その両面を理解した上で、社員への研修や福利厚生の充実を通じて、安全かつ効果的に推進していくことが重要です。 副業は、社員だけでなく企業にも大きな価値をもたらす可能性があります。今こそ、未来を見据えた人事戦略の一環として、安心・安全な副業認可制度の構築を進めましょう。 そして、リスク対策としての研修の導入や、従業員のリスキリングやスキルアップを支援する資格取得・研修講座の活用も、積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
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監修者情報
志野 こと葉(しの ことは)
| プロフィール | コンサルティング企業や大手教育系企業にて25年にわたり商品開発・マーケティング・広報業務などに携わる。 特にWeb開発やデジタルマーケティング領域の業務を数多く経験。マネジメント職を経験後、産業カウンセラー、ハラスメント相談員等の資格を取得。 その後、公務員に転向し、企業の雇用問題や採用、人材育成、働き方等におけるさまざまな課題解決に携わる。 働く人に向けた幅広いテーマでビジネスコラムの執筆を行っている。 |
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