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リスキリングを成功に導く基本の4ステップとは

リスキリングを成功に導く基本の4ステップとは

リスキリングの必要性がますます高まり、多くの企業や組織でリスキリングの導入が進んでいます。そんな中、リスキリング施策を提供する側と、受ける側の目的意識の違いや学習内容の不一致により、せっかくの機会がうまく機能していないことも多いようです。

本コラムでは最新のリスキリング研究を踏まえ、リスキリングで今こそ学びたい注目分野の紹介や、リスキリング施策を成功に導くために必要な基本ステップをご案内します。

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リスキリングとは?アップスキリングとの違い

リスキリング施策導入を検討する前に、何のためにリスキリングが必要なのか、社会から注目されている理由を考えるべきです。厚生労働省によると、人口減少による労働供給制約やDX(デジタルトランスフォーメーション。デジタル技術を活用して、ビジネスや社会の仕組みを根本から変革すること。)・GX(グリーントランスフォーメーション。企業経営をする上で必要となる燃料の燃焼、電力の使用にかかるエネルギーを、自然エネルギー等のクリーンなものに転換する試み。)の進展、職業人生の長期化など、社会経済環境が大きく変化してきているなかで、企業と労働者個人の継続的な成長のために、一人ひとりが新たなスキルや知識を身につけていくことが重要であり、このような背景から、「リスキリング」が必要とされています。

◎厚生労働省HPより
職業訓練や助成金などを活用 全世代リ・スキリングのすすめ

よく、リスキリングと混同しがちな概念としてアップスキリングがありますが、アップスキリングは、個人がすでに保有している既存のスキルや知識をさらに強化していこうとするものなので、リスキリングとは目指す方向が異なるといえるでしょう。では、リスキリングを通じて何を新たに学び、どのような力を身に付けていくのがよいのでしょうか?次の章で見ていきましょう。

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リスキリングで今こそ学ぶべき3分野とは

リスキリングで今こそ学ぶべき3分野とは

①ITスキル(特にシステム開発スキル)を学ぶ

ビジネスの効率化や人手不足を補う手段として、システムの導入による解決、つまりDXの必要性が急速に高まっています。DX推進のためには、専門的なITの知識やスキルを持つ人材が必要ですが、日本ではまだまだIT人材の数が需要に追い付いておらず、常に不足している状態です。特に年齢が高くなるとIT分野を学ぶことに抵抗を感じる社員も多いのが現状です。しかし、近年はローコード(最小限のプログラムコードで開発可能な手法のこと)、ノーコードツール(プログラミングの知識やスキルがなくても開発可能なツールのこと)の普及も進んでおり、システム開発の難易度も下がってきています。今こそ、新たな知見を得て、自動化や効率化を実現できる人材育成のために、ITスキルを習得することが求められています。IT分野の中でも、特にシステム開発のスキルを学ぶことが、より成果につながりやすいでしょう。少子高齢化が進む日本では、若年層のみならず、幅広い世代の人が挑戦すべき分野であるといえます。

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②AI活用スキルを学ぶ

資料作成や大量のデータ分析など、かつては人が長時間かけて行ってきた業務を、今はAIがスピーディに正確に仕上げてくれる時代になりました。しかし、個々人の日常業務がAIによって効率化できた、というだけでは単なるアップスキリングにとどまります。リスキリングという意味では、AIが作成した大量のデータから重要な要素を見つけ出すデータ解析・分析能力や、それをもとに新規事業につながるアイデアを創出するといった発想力やアイデアを形にしていく実行力を獲得する必要があります。企業の将来を考えたとき、生成AIをいかに活用し従来型のビジネスに留まらない発想を生み出していくか、AIの新しい活用法を学ぶことが重要となります。

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③国家資格など資格取得に注力する

企業は、従業員がデジタルを活用して業務の効率化や新規事業の創出を進めてくれることを期待しています。しかし、多くの従業員が働いている会社においては、各人がどのような専門的なスキルや知見を持っているか分かりません。リスキリングを可視化するためには、国家資格や検定など資格取得を目指すことも大事です。国家資格などを取得すると、その分野で一定の知識を保有している専門家であるという証となり、新規事業での活躍や、将来の転職などでも強みになります。IT、法律、会社経営、コンプライアンス、キャリア支援、生活、医療、教育分野など、それぞれの専門分野において様々な国家資格・民間資格がありますが、リスキリングの観点で考えると、現在の仕事の延長ではなく、新分野を学ぶ越境学習という観点で選択するのがよいでしょう。

現在、経済産業省、厚生労働省、文部科学省、デジタル庁などの各省庁から様々なリスキリング支援施策、助成金制度が実施されています。一部の施策について弊社コラムでも取り上げておりますので、ぜひご覧ください。

リスキリングを成功に導く基本4ステップとは

リスキリングを成功に導く基本の4ステップとはイメージ

ここからは、リスキリング施策を成功させる具体的な手法について考えていきます。企業におけるリスキリング施策は、担当者(推進者)、スケジュール、予算がついてから実行となることが多いかと思います。ただ、実行に移す前段階から準備しておくことで、最終的な施策の満足度や成果をより一層高めることができるいくつかのポイントがあります。これらをきちんと押さえておくことがリスキリング施策の成功につながりますので、以下の4つのステップをぜひご活用いただきたいと思います。

①現状分析とスキルギャップの洗い出し

まず始める前に、企業又は個人の目標を設定し、その目標に到達するために新たに獲得すべき力は何か、求められる具体的なスキルや資格などを特定します。

特に、企業の全体施策としてリスキリングを開始する場合は、まず組織全体としての今後の成長戦略や新規分野参入、グローバル展開などの実現のために、既存人材のスキルの棚卸しや、個人、組織の強み弱み分析などを、様々なツールを用いるなどして客観的に分析しておくことが必要です。現状分析をもとに、どの分野のどういったスキルを持った人材を新たに育成するかについての計画を立案していきます。また、組織で実行していく際に大切なこととして、これらの計画内容を、組織内に周知・理解・浸透させ、個人がその計画に沿ってきちんと実行することをコミットできるよう促していくことが重要です。

②学習方法・学習環境の選定

リスキリングを行う場合、問題になりやすい観点として、学び方に関することがあります。学び方を軽視して開始してしまうと、定着や継続が難しかったり、途中で挫折してしまったりと、学習の阻害要因になる場合があります。現在では、eラーニング、オンラインスクール、集合研修、AIと対話形式で行うアプリ学習など、非常に多くの学び方のバリエーションがありますので、その人にあった学び方が選択できるようにするのがよいでしょう。数ある学び方の中で特にお勧めなのは、eラーニングではないでしょうか。学ぶ時間や場所を選ばず、スマホでも利用できる手軽さ、自分のペースで進められるなど、タイパ(タイムパフォーマンス。時間対効果のこと。)を重視する現代人のニーズに最も合っている学び方であると言えます。費用面でも、スクールや集合研修などの対面式よりかなり安く抑えられているのも魅力です。

最近では、ChatGPTなどの生成系AIを活用した自己学習法や、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)を使ったシミュレーション学習の事例も増加しています。例えば、語学学習や資格試験の受験対策などに生成AIを利用した学習アプリが人気です。まるで人と話しているように会話ができる点や、自分だけの苦手克服問題を出題してくれるなど、AI学習法は個別対応に優れている点で、他の学習法より優位だといえます。また、AR/VRを利用したシミュレーション学習についても、時と場所を選ばずに学習環境が再現できる点が魅力です。工場での専門的な製造、修理、加工技術や、車両などの運転技術の習得など、専門性の高い技術を要する分野で特に活用が進んでいます。

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③実践とフィードバック

リスキリングを一定期間実践した後、学んだスキルをどのように活かすのか、その具体的なプロセスや成果の測定方法についても、事前にめどを立てておく必要があります。

様々なやり方がありますが、企業内で行っている場合、最も有効なのは、メンター制度(先輩社員が若手社員などに幅広く支援・育成する人事制度のこと。)やキャリアカウンセリング制度を通じて、定期的に、新たに獲得したスキルや資格をデータ化し、目標達成までの距離を相互に把握・共有していくことが求められます。個人が現業を行いながら、リスキリングにかけるパワーや時間を創出するのは大変難しいことですが、定期的にメンターからフィードバックや応援メッセージをもらえることが、次に進む原動力につながります。新規事業の立ち上げやシステム導入企画など、社内での新しい動きがある場合、異動やプロジェクト参加などの話がすぐにつながるようにしていくことも、モチベーション向上や離職を防ぐアプローチになります。

④定着化と評価・報酬の設定

新たに獲得したスキルを、組織又は個人のキャリアにどう定着させるか、更に、学習結果をどのように評価・報酬・配置に反映するかについても、組織内で新しい指針づくりが必要になります。

実はこの点が非常に重要で、特に組織でリスキリング施策を展開していく場合、先述のように、現状と求めるスキルのギャップを埋める事だけを目的として進んでしまうと、残念ながら思ったように人が動かないという現実に直面してしまうかもしれません。できるだけ多くの人を動かすためには、頑張って学んだ先にあるものが何なのか。魅力的な報酬や手当、やりたい仕事ができる人事上の選択権など、それらが事前に準備されていることが、リスキリングを行う個々人の大きな原動力にもなるのです。

イメージしやすいのは、資格手当や職能手当といった手当制度の充実があります。しかし、これだけですと、リスキリングで得たスキルや知識をビジネスシーンで活用できているのか、評価や報酬につながりにくい面もあります。この点は、「③実践とフィードバック」でお伝えしたように、メンター制度などによるフォローやMBO制度(目標管理制度。従業員に目標を設定させて、上司や管理職がその達成度合いを評価する制度のこと。)等を活性化させ、評価を見える化していく必要があります。

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監修者情報

反町 雄彦 そりまち かつひこ

株式会社東京リーガルマインド 代表取締役社長/弁護士

1976年 東京都生まれ
1998年 11月 東京大学法学部在学中に司法試験合格。
1999年 3月 東京大学法学部卒業。
4月

株式会社東京リーガルマインド入社、以後5年間、司法試験対策講座の講義を行い、初学者向けの入門講座から中上級向けの講座まで幅広く担当し、多くの短期合格者を輩出した。

2004年 3月 司法研修所入所。
2005年 10月 弁護士登録(東京弁護士会所属)。
2006年 6月 株式会社東京リーガルマインド取締役。
2008年

LEC司法試験対策講座統括プロデューサーを務め、以後、現在に至るまで資格試験全般についてクオリティの高い教材開発に取り組んでいるほか、キャリアデザインの観点から、多くの講演会を実施している。

2009年 2月 同専務取締役。
2011年 5月 同取締役。
2014年 4月 同代表取締役社長。
2019年 4月 LEC会計大学院学長
2023年 東京商工会議所中野支部・情報分科会長に就任
2024年 一般社団法人ラーニングイノベーションコンソシアムの理事に就任

反町 雄彦社長

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