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【2025年最新版】コンプライアンス違反の事例と企業がとるべき対策とは

【2025年最新版】コンプライアンス違反の事例と企業がとるべき対策とは

コンプライアンス違反の問題は、あらゆる企業に起こりうる、最も発生リスクの高いものであると言っても過言ではありません。近年では人材の流動性の高まりや、テレワークなど働き方の変化で、従業員同士や、組織・チームの中でコンプライアンス遵守の意識を高いレベルで保持し続けることが難しいと感じることもあるかもしれません。 企業や組織が法令遵守や倫理的な行動を怠った結果、社会的信用を失うことにつながる事例が複数報告されていますが、本コラムでは、最新のコンプライアンス違反事例をもとに、コンプライアンスの重要性を再認識し、予防策を講じるために企業がとるべき対策についてお伝えします。

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1.コンプライアンス違反とは

1-1.コンプライアンス違反の基本定義

まず初めに、コンプライアンス違反の基本的な意味を確認していきましょう。 コンプライアンス(Compliance)とは、英語で「法令遵守」を意味しますが、現代のビジネスではもっと広い意味で使われており、 コンプライアンス違反=企業や個人が、法令、社内規程、社会的ルール、倫理・モラルなどに違反する行為全般 を指します。

1-2.法令違反と企業倫理違反の違い

一口に企業のコンプライアンス違反といっても、その違反の内容により、「法令違反」となるのか、若しくは「企業倫理違反」に該当するのかで、対応が異なる場合があります。まず 法令違反は、国や地方自治体が定めた「法律」に違反することで、罰金など明確な処罰がある場合がほとんど です。対して、企業倫理違反は、法には触れないが、「やってはいけない」とされるモラルやルールを破ること で、企業の行動指針に反する行いなども該当します。

1-3.コンプライアンス違反における企業の責任範囲

それでは、企業はどこまで、従業員のコンプライアンス違反に対して、責任を持たなければならないのでしょうか? もし、従業員が何らかのコンプライアンス違反を犯した場合、企業は、「使用者責任」や「組織としての管理責任」という形で、従業員の違反行為に対して責任を問われる 場合があります。主なものは、以下の3点となります。

①【民法上の責任】使用者責任(民法 第715条)

従業員(被用者)が業務中に第三者に損害を与えた場合、企業(使用者)はその損害を賠償する責任を負う。
例:営業社員が業務中に個人情報を漏洩 → 企業が損害賠償の対象

②【会社法・行政法などの責任】管理責任・監督責任

企業は、従業員に適切な教育や監督を行う義務があり、怠っていた場合、行政処分(業務停止・指導など)を受けることがある。
例:適切な内部通報制度を整えていなかった → 是正命令や企業名の公表の可能性

③【刑事責任】法人処罰もあり得る

企業ぐるみで違法行為を行っていた場合は、企業(法人)そのものが刑事責任を問われる。
例:食品偽装を組織的に実施 → 業務停止命令+罰金刑

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2.コンプライアンス違反の主な種類と影響

次に、コンプライアンス違反の主な種類についてみていきましょう。以下では、ビジネスの場で発生している違反例を、 内容ごとに大まかに4つに分け、発生時の社会的な影響についても考察していきます。

<コンプライアンス違反の4分類>

①【法令違反】

国や自治体が定める「法律・条例」に反する行為
具体例 ※( )内は対象となる法令:
残業代の未払い(労働基準法違反)
インサイダー取引(金融商品取引法違反)
個人情報漏洩(個人情報保護法違反)
談合・価格カルテル(独占禁止法違反)

★【影響】→ 刑事罰、行政処分、企業イメージの損失

②【企業倫理・社会的モラル違反】

社会常識や道徳、企業としてのあるべき姿に反する行為
具体例:
パワハラ・セクハラ・モラハラ
差別的・暴言的な言動
虚偽報告、過剰な接待
SNSでの不適切発言や内部暴露

★【影響】→ 炎上・社会的非難・社員の士気低下

③【社内ルール・規程違反】

就業規則や企業内で決められたルールへの違反
具体例:
無断欠勤、勤務時間の虚偽申告
社外秘資料の持ち出し
社用車・社用PCの私的利用
未申告の副業

★【影響】→ 懲戒処分・人事評価への影響・組織風土の悪化

④【情報管理・セキュリティ違反】

情報の扱い方やセキュリティ上のルール違反
具体例:
顧客データの誤送信・紛失
パスワードの使い回しや漏洩
不正アクセス、社外での機密閲覧
データの無断保存・持ち出し(USB等)

★【影響】→ 顧客離れ・損害賠償・信用失墜

3.最新のコンプライアンス違反事例(2024年〜2025年)

ここでは、2024年から2025年にかけて発生した、企業のコンプライアンス違反の最新事例を紹介していきます。

最新のコンプライアンス違反事例

3-1.数々の不適切行為が発覚したビックモーター事件(2024年)

株式会社BALM(バーム)(旧 株式会社ビックモーター)
違反内容:中古車販売大手企業で、従業員による保険金不正請求のための故意の車両損壊や、本来必要ではない部品交換を行うなど、 数々の不適切行為が発覚。その背景には、過剰な営業ノルマや社員間での罰金制度など、特異な社内体質があるとされ問題視された。
影響:社会的信用の失墜により、2024年12月に民事再生法の適用を申請

3-2.旅行会社による人件費不正請求(2024年)

日本旅行株式会社
違反内容:国内で団体旅行を最初に始めた老舗の大手旅行代理店・日本旅行が、全国旅行支援キャンペーンに関する人件費を架空計上し、不正に請求していたことが発覚。実際には勤務していない従業員が、 勤務していたかのように架空のタイムカードを作成するなどの行為を行った。現在は、不正受給した全額(約530万円)を返還済み。
影響:会社の信頼を失墜させ、旅行業界全体への不信感の拡がり

3-3.アルバイト店員の悪ふざけ動画が炎上(2024年)

株式会社すかいらーくホールディングス
違反内容:すかいらーくホールディングスが運営する「しゃぶ葉」のアルバイト店員が、撮影した、悪ふざけ動画によるSNS炎上騒ぎが発生。店内でアルバイトスタッフが別の店員から羽交い締めにされ、ホイップクリームを口に流し込まれる動画をSNS上へ投稿した。撮影は閉店後で、廃棄予定だったホイップクリームを使ったというが、 SNS上では批判が集中し、すかいらーくホールディングスは謝罪する事態に追い込まれた。
影響:ブランドイメージの低落や、お店のファン・リピート客の減少、売上の低下

3-4.プロ野球選手による不法賭博(オンラインカジノ)疑惑(2025年)

パリーグ オリックス球団
違反内容:球団選手による、オンラインカジノ利用に関する疑惑が発覚。過去に、当該選手が、海外でカジノのライセンスを取得しているサイトが運営するポーカーゲームのトーナメント大会に参加していた事実を把握。球団は当該選手に対し、違法性の認識の有無に関わらず、社会的影響力の大きいプロ野球選手としての自覚を欠いた行動であったという見解のもと、 警察による調査への協力と、当面の間、プロ野球選手としての活動の自粛を命じた。
影響:球団や野球界への不信感の拡がり、ファンの減少、スポンサー離れによる広告収入減や来場者収益の減少

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4.企業が実施すべきコンプライアンス違反対策(5つの柱)

①【方針とルールの整備】
コンプライアンス基本方針を策定・周知します。行動規範、就業規則、ハラスメント防止規程など、部門をまたぐ様々な社内ルールを整備し、古いままのものが無いかなど、必要に応じて内容を見直していきます。 規程は定期的に見直し、社内でいつでも確認できる状態にしておくことが求められます。
②【教育・啓発】
新入社員〜管理職まで、階層別に定期的な研修を実施します。 コンプライアンス違反に関する基礎知識に加え、より深く浸透させるためには、ケーススタディや過去の不祥事事例を活用した「自分ごと化」できる内容であることが求められます。 また、自社の事業内容に合った研修内容にカスタマイズして提供すると効果的です。 年1〜2回の集合研修やeラーニングで継続的に意識を育成していきます。
③【通報・相談体制の整備(内部通報制度)】
匿名で通報できるホットライン(社外窓口含む)を社内(あるいは外部に)設置します。 同時に、通報者保護の仕組みを整え、不安なく声を上げられる社内風土(雰囲気)づくりに留意します。
通報内容への迅速・公正な対応を徹底して行うことで、従業員の安心安全への配慮となります。
④【リスク管理と内部監査】
業務ごとに潜むリスクを、定期的に洗い出す仕組みをつくっていきます。
特に、ハイリスク部門(営業・購買・財務など)は、重点監査が必要となりますし、定期的な人事異動や担当顧客を入れ替えることで、組織の風通しを良くすることも重要です。 内部監査+外部チェック(弁護士・監査法人)との連携も有効となります。
⑤【経営層の姿勢と企業文化の醸成】
経営層が率先してコンプライアンスを実践する、いわゆる「トップの本気」を見せることが非常に重要 です。組織全体に「違反を許さない」という厳格な空気を浸透させるため、経営層自らが悪しき前例をつくらないよう、小さなことでも、ごまかしたり、適当に終わらせたりしない姿勢で臨む必要があります。
万一違反が発覚した場合は、厳しい措置を講じ、原因の究明と共有、再発防止策を全社で学べるように動くことが求められます。
企業が実施すべきコンプライアンス違反対策

5.【最新予測】今後増えてくるコンプライアンス違反とは

未来を予測するのは難しいですが、現在の社会情勢や技術の進展、価値観の変化から、傾向を読み解くことは可能です。以下に、今後新たに増加が予測されるコンプライアンス違反について考察していきます。

①AIとアルゴリズム関連の不正・偏見
AIによる差別的判断(採用、融資、広告配信など)やアルゴリズムによる不正な価格操作が起こる可能性があります。背景として、AI技術が急速に社会に浸透する中で、「誰が責任を負うのか」という議論が追い付いていません。意図せずに差別や不利益を生むケースが、 今後増えそうです。
②デジタルプライバシー違反・個人データの不正利用
同意を得ないデータ収集や追跡、個人情報の第三者提供問題、サイバー攻撃による情報漏洩と対応の不備などが増加する可能性があります。その理由として、個人情報保護が強化される一方で、データ経済が加速し、法整備が追い付いていない側面があります。 その結果、グレーゾーンを突いた企業活動が増える可能性があります。
③グリーンウォッシング(偽の環境配慮)
実態とかけ離れた「エコ」や「カーボンニュートラル」の宣伝、及び、ESG投資を狙った虚偽報告などが、意図的に作られる可能性があるでしょう。 環境意識の高まりと共に、企業の「脱炭素」「SDGs」アピールが強化されていますが、内容が伴っていないケースが表面化しそうです。
④働き方改革・ウェルビーイングの偽装
名ばかりの「フレックス勤務」や「リモート推奨」、社内ハラスメントの隠蔽やメンタルヘルス対策の不徹底などが問題視されるケースも増えそうです。 「働きやすい職場」や「心理的安全性」といった価値が重視される今、それを装って実態が伴わないケースが逆にリスクになります。
⑤ITリテラシー不足による情報漏えい
従業員の個人スマホ・USB使用による情報流出、社内共有ツールの設定ミス(例:Googleドライブのリンク公開)、セキュリティソフト未導入などによる「ついうっかり」型の情報漏洩のリスクが一層高まりそうです。 DX化が遅れている企業やIT教育が進んでいない企業ほど、危険性が高まるでしょう。
今後増えてくるコンプライアンス違反とは

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現在は、「バレなきゃいい」から「透明性がないと疑われる」時代に変わりつつあるといえます。コンプライアンス違反は、意図的なものだけでなく、「知らなかった」「そこまで管理してなかった」という消極的理由によるものも増えていきそうです。 これらの違反を発生させないためにも、コンプライアンスをよく理解し、常に危機意識を持つことが求められます。

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監修者情報

志野 こと葉(しの ことは)

プロフィール コンサルティング企業や大手教育系企業にて25年にわたり商品開発・マーケティング・広報業務などに携わる。 特にWeb開発やデジタルマーケティング領域の業務を数多く経験。マネジメント職を経験後、産業カウンセラー、ハラスメント相談員等の資格を取得。 その後、公務員に転向し、企業の雇用問題や採用、人材育成、働き方等におけるさまざまな課題解決に携わる。 働く人に向けた幅広いテーマでビジネスコラムの執筆を行っている。

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