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企業が実践すべき危機管理とは?リスク・BCPとの違いから体制構築まで徹底解説

企業が実践すべき危機管理とは?リスク・BCPとの違いから体制構築まで徹底解説

現代ビジネスにおいて、企業活動の持続性を守る上で危機管理は不可欠です。本記事では、その本質をリスク管理やBCP(事業継続計画)との違いを明確にしながら、あなたの会社が今すぐ取り組むべき具体的な危機管理体制の構築ステップを、実践者の視点から徹底解説します。

社内のリスクマネジメントや危機管理対策でこんなお悩みはありませんか?

  • 情報共有の遅れや混乱
  • サイバー攻撃・情報漏洩への不安
  • BCP(事業継続計画)の形骸化
  • 風評被害・不祥事対応の難しさ
  • 費用対効果を経営層に説明しにくい

本コラムでは、こうした課題に向き合うヒントとして、リスクマネジメントや危機管理対策など、実際の研修導入に活かせる具体的な展開方法をご紹介します。

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目次

こんなお悩みはありませんか?

  • 企業における危機管理の定義、重要性、そしてリスク管理・BCPとの明確な違いを知りたい
  • 自社に合った危機管理体制を構築するための具体的なステップを知りたい
  • 実際に企業が直面する危機事例から学ぶ実践的な対応策とDX活用のヒントを知りたい

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1.企業が「危機管理」に取り組むべき理由と本質

企業経営に携わる皆様にとって、「危機管理」という言葉は身近でありながら、その本質や具体的なアプローチについて深く理解することは容易ではありません。ここでは、企業における危機管理の定義とその重要性、そして現代の企業経営においてなぜこれほどまでに注目されるのかを掘り下げていきます。

危機管理とは?その定義と企業における重要性

危機管理(クライシスマネジメント)とは
「企業活動に壊滅的な影響を与えかねない非常事態が発生した際に、その損害を最小限に抑え、事態の早期収束と事業の回復を図るための組織的な対応活動全般」を指します。これは単なる問題解決を超え、予期せぬ事態から企業と従業員を守り、社会的な信頼を維持するための経営戦略の一環と位置づけられます。

これは単なる問題解決を超え、予期せぬ事態から企業と従業員を守り、社会的な信頼を維持するための経営戦略の一環と位置づけられます。
現代社会は、自然災害サイバー攻撃情報漏洩不祥事など、企業の存続を脅かす多様な危機に満ちています。これらの危機は、ひとたび顕在化すれば、企業の評判や信頼を一瞬で失墜させ、最悪の場合には事業の継続自体が困難になる可能性をはらんでいます。だからこそ、危機を未然に防ぐ「予防」だけでなく、万一発生した際にどう「対処」するかを明確にしておくことが、企業の継続性を確保する上で極めて重要なのです。

危機管理の目的:単なる事後対応ではない「事業継続」への貢献

危機管理の主な目的
発生した危機による被害を最小限に食い止め、早期復旧を実現することにあります。しかし、その根底には、企業の事業継続というより大きな目標があります。危機管理は、単にインシデントが発生した後の「事後対応」に留まらず、以下の多岐にわたる側面から企業活動に貢献します。
①損害の最小化と早期復旧
物理的損害、経済的損失、風評被害など、あらゆる側面からの被害を抑制し、迅速な復旧プロセスを通じて事業の停滞期間を短縮します。
②ブランドイメージと信頼の維持
透明性の高い情報開示と誠実な対処を通じて、顧客、取引先、社会からの信頼を維持し、長期的な企業価値を守ります。
③従業員の安全確保と法的リスク回避
従業員の心身の安全を最優先し、適切な対策を講じることで、労働安全衛生に関わる法的リスクや損害賠償リスクを回避します。

企業が実践すべき危機管理とは?リスク・BCPとの違いから体制構築まで徹底解説

2.混同しがちな「危機管理」「リスク管理」「BCP」の明確な違い

「危機管理」「リスク管理」「BCP(事業継続計画)」は、企業が安定した事業活動を維持するために欠かせない概念ですが、それぞれの役割や目的は異なります。これらを混同すると、効果的な対策が打てない可能性があります。ここでは、それぞれの違いと連携のポイントを明確に解説します。

危機管理 vs. リスク管理:発生前と発生後、アプローチの違いを解説

リスク管理と危機管理はよく似た文脈で使われますが、そのアプローチと焦点を当てるフェーズに明確な違いがあります。

リスク管理(Risk Management)
目的:潜在的なリスクの発生を「予防」すること。
アプローチ:事態が発生する前に、リスクを特定、評価、分析し、その発生確率や影響度を低減するための対策を講じます。
具体的な例:
  • ハザードマップに基づいた防災対策
  • 情報セキュリティ対策
  • コンプライアンス体制の構築
  • 保険加入も対策
これらは「想定内の事態」への備えと言えます。
危機管理(Crisis Management)
目的:実際に危機が「発生」した際に、その被害を「対処」し、最小限に抑えること。
アプローチ:事態が発生した時点から、迅速かつ的確に情報を収集・分析し、意思決定を行い、事態の拡大防止、復旧、そして社会への説明責任を果たします。
具体的な例:
  • 緊急時の意思決定策
  • 被害の拡大防止
  • 社会への情報開示
これは「想定外の事態」への対応を含む、より緊急性の高いフェーズでの活動です。

両者は相互に補完し合う関係にあり、リスク管理で防ぎきれなかったリスクが顕在化した際に、危機管理がその役割を果たします。

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BCP(事業継続計画)と危機管理:密接な関係性と連携のポイント

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、火災や洪水、地震といった災害やシステム障害などの緊急事態が発生した場合でも、企業が重要な事業活動を中断させない、または可能な限り短期間で復旧させるための具体的な行動計画です。

BCPの定義と目的: 予期せぬ事態に際しても、中核事業を継続し、早期復旧を目指すための計画。人、物、金、情報をどう動かすかを具体的に定めます。

危機管理におけるBCPの位置づけ:BCPは、危機管理体制の中核をなす「具体的な行動マニュアル」や「戦略」として機能します。危機発生後、混乱の中でゼロから対応を考えるのではなく、BCPに沿って行動することで、迅速かつ組織的に対処することが可能になります。

BCP策定が危機管理体制をどう強化するか: BCPを策定することで、企業は潜在的な事業中断リスクを事前に評価し、代替手段や資源配分を計画できます。これにより、危機発生時の混乱を抑え、従業員の安全確保と事業の早期復旧という危機管理の目的達成に直結します。

したがって、リスク管理でリスクを予防し、それでも発生した危機に対してはBCPという具体的な計画に基づいて危機管理を行う、という連携が理想的です。

3.ゼロから始める!あなたの会社で実践する危機管理体制の構築ステップ

ここからは、企業が実際に危機管理体制を構築するための具体的なステップを、私たちの「危機管理DX推進チーム」が培ってきた実践的な知見に基づいて解説します。漠然とした不安から一歩踏み出し、具体的なマニュアルや訓練へと繋げるためのロードマップとしてご活用ください。

危機管理体制構築の全体像:7つのステップ

効果的な危機管理体制を築くには、計画的かつ継続的なアプローチが不可欠です。以下の7つのステップは、その全体像を示します。

ステップ1: 経営層のコミットメントと体制の明確化
危機管理の重要性を経営トップが認識し、全社的な取り組みとして強力に推進する意思表示が不可欠です。専任の組織や担当者を設置し、責任範囲と権限を明確にします。
ステップ2: 潜在リスクの洗い出しと評価
自社が直面しうるあらゆるリスク(自然災害、情報漏洩、不祥事、サプライチェーン中断など)を特定し、その発生確率と事業への影響度を評価します。優先順位付けが重要です。
ステップ3: 危機管理マニュアルの策定
各リスクに対する具体的な対処手順、緊急連絡先、役割分担、意思決定フローなどを詳細に記述したマニュアルを作成します。誰が、いつ、何をすべきかを明確にします。
ステップ4: 情報共有・意思決定プロセスの確立(エスカレーションルール)
危機発生時に、正確な情報を迅速に収集し、必要な関係者へ共有する仕組みを構築します。特に、経営層へのエスカレーションルールを明確にすることが重要です。
ステップ5: 従業員への教育・訓練・シミュレーションの実施
マニュアルの内容を浸透させ、実効性を高めるために、定期的な訓練やシミュレーションを行います。形式的なものではなく、実践を意識した内容が求められます。
ステップ6: ITインフラとDXツールの活用
情報共有システム、安否確認システム、リモートワーク環境、監視ツールなど、テクノロジーを活用することで、危機発生時の対応力と継続性を大幅に向上させます。
ステップ7: 継続的な見直しと改善
社会情勢の変化、新たなリスクの出現、訓練結果のフィードバックなどに基づき、危機管理体制とマニュアルを定期的に見直し、常に最新の状態に保ちます。

必須要素1: 「危機管理マニュアル」策定のポイントと具体例

危機管理マニュアルは、危機発生時の羅針盤となる最も重要なツールです。以下のポイントを押さえることで、実用性の高いマニュアルを策定できます。

マニュアルに含めるべき項目 項目
緊急連絡先一覧 経営層、担当部署、取引先、関係省庁、メディア、顧問弁護士など
役割分担と責任範囲 危機対策本部、各部門の具体的な役割と担当者
初動対応フロー 危機の種類に応じた緊急時の初期対応ステップ
情報収集・共有手順 誰が、どこから、どのような情報を収集し、誰に報告するか
意思決定プロセス 誰が最終決定権を持ち、どのようなステップで承認を得るか
広報・報道対応 プレスリリース作成、記者会見、SNS対応のガイドライン
復旧計画 事業の早期再開に向けた具体的なアクションプラン
「生きるツール」にするための工夫 項目
平易な言葉で記述 専門用語を避け、誰でも理解できるよう簡潔にまとめる
視覚的な要素の活用 フローチャートやチェックリスト、図などを多用し、直感的に理解できるようにする
アクセス性の確保 物理的な場所だけでなく、クラウド上などアクセスしやすい場所に保管し、緊急時でもすぐに参照できるようにする
定期的な更新 環境変化や訓練結果を反映し、常に最新の状態を保つ

必須要素2: 従業員を動かす「訓練とシミュレーション」実践のコツ

どんなに優れたマニュアルがあっても、実際に使う人がその内容を理解し、適切に動けなければ意味がありません。定期的な訓練とシミュレーションは、危機管理体制の要です。

訓練の種類と効果
  • 机上訓練: マニュアルを読み合わせ、危機シナリオに対して各自の役割を確認する。知識の定着に有効。
  • 実動訓練: 実際に避難経路を歩く、緊急連絡システムを使うなど、具体的な行動を伴う訓練。対応能力の向上と課題の発見に繋がります。
  • 複合訓練: 複数の危機が同時に発生するシナリオを想定し、より複雑な状況に対応する訓練。
参加意識を高めるための工夫とフィードバックの重要性
  • 訓練の目的を明確に伝え、従業員一人ひとりが「自分ごと」として捉えられるように動機付けます。
  • 一方的な指示だけでなく、参加者からの意見や改善提案を積極的に募る機会を設けます。
  • 訓練後は必ずフィードバックを実施し、良かった点、改善点、課題を共有します。
これにより、マニュアルの改訂や次の訓練計画に活かすことができます。

必須要素3: DXとITツールが危機管理を加速する

現代の危機管理には、デジタルトランスフォーメーション(DX)とITツールの活用が不可欠です。テクノロジーは、危機の予兆検知から情報共有、復旧支援まで、あらゆるフェーズで危機管理の効率性と実効性を高めます。

情報共有システム 社内外の関係者へ迅速かつ正確に情報を伝達するためのシステム。チャットツール、専用の危機管理プラットフォームなどが含まれます。
監視ツール サイバー攻撃の検知システム、自然災害のリアルタイム情報提供サービス、SNSでの風評監視ツールなど。
BCP支援ツール BCPの策定から運用、評価までをサポートするソフトウェア。事業継続に不可欠なデータをクラウド上で管理するシステムも含まれます。
AI活用予測分析 ビッグデータやAIを活用し、過去の事例や傾向から危機の兆候を早期に検知し、未然に防ぐための予防措置を講じる可能性も広がっています。

専門家との連携:外部の知見を最大限に活用する方法

自社だけで全ての危機管理を完璧にこなすのは難しい場合もあります。その際、外部の専門家の知見を借りることは、体制構築を加速させ、より強固なものにする上で非常に有効です。

コンサルティング会社 危機管理体制の全体設計、BCP策定支援、訓練計画の立案と実行サポートなど、包括的なアドバイスを提供します。
法律事務所 危機発生時の法的対処、契約関係の見直し、損害賠償リスクへの対応など、法務の専門知識を提供します。
ITベンダー 情報セキュリティ対策、データバックアップ、システム復旧計画など、ITインフラ面での専門知識とソリューションを提供します。
事例1
ある中小企業が、これまで曖昧だった危機管理体制を見直し、事業継続計画(BCP)を導入した結果、想定外の自然災害発生時にも従業員の安全を確保し、事業停止期間をわずか3日で食い止めることができた事例があります。この成功の背景には、BCP策定から緊急時の初動対応訓練まで、私たちのような専門家が伴走型で支援し、その企業に最適なマニュアルと訓練プログラムを設計したことが挙げられます。自社だけでは気づきにくい盲点や、最新の動向を踏まえた実践的なアドバイスが、大きな差を生むのです。

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4.企業が直面する具体的な危機とその対策:成功・失敗事例から学ぶ

実際に企業がどのような危機に直面し、どのように対処すべきか。ここでは、代表的な危機の類型と、それらに対する具体的な対策、そして私たちの経験に基づいた実践的な教訓を紹介します。

自然災害・事故:事業継続を脅かす最大のリスクへの備え

日本は地震や台風などの自然災害が多い国であり、これらの災害は事業活動に甚大な被害をもたらす可能性があります。

災害発生時の初動対応と安否確認の徹底
  • マニュアルに基づき、従業員の安全確保を最優先に迅速な安否確認システム(例:安否確認サービス)を導入し、定期的に訓練を行います。
  • 緊急連絡網の整備と複数手段(電話、メール、SNS、アプリ)での連絡体制を確立します。
サプライチェーン寸断リスクへ
  • 代替調達先の確保、在庫の多角化、生産拠点の分散など、サプライチェーンの脆弱性を洗い出し、多重化することでリスクを分散します。

情報漏洩・サイバー攻撃:デジタル時代の危機管理

現代において、情報資産は企業の重要な財産です。情報漏洩やサイバー攻撃は、企業の信頼性を著しく損ない、多大な損害をもたらす可能性があります。

標的型攻撃、ランサムウェアなど最新脅威への対応

  • 多層防御(ファイアウォール、IDS/IPS、アンチウイルスソフト)の導入と定期的な更新。
  • 従業員へのセキュリティ意識向上訓練(不審なメールの開封、パスワード管理の徹底など)。
  • バックアップ体制の強化と定期的な復元テスト。
事例2
かつて、情報漏洩リスクに晒されていた大手小売業に対し、私たちはサイバーセキュリティ専門家と連携し、従業員への危機管理教育、システム脆弱性診断、そしてインシデントレスポンス体制の構築を支援しました。結果として、数億円規模の潜在的損害を未然に防ぎ、企業の信頼性維持に貢献しました。この事例では、単なる技術的な対策だけでなく、「もし情報が漏洩したらどうするのか」という対処フローを明確にし、模擬訓練を繰り返したことが、危機発生時の混乱を最小限に抑えることに繋がりました。

不祥事・風評被害:ブランドイメージを守る広報戦略

企業不祥事や風評被害は、企業のブランドイメージと市場からの評価に深刻な影響を与えます。

迅速かつ誠実な情報開示の重要性:

  • 事実確認を徹底し、隠蔽せず、速やかに正確な情報を公開するマニュアルを策定します。
  • 謝罪のタイミングと表現、再発防止策の提示方法を事前に検討します。

SNS時代における風評被害対策と危機広報:

  • ソーシャルメディアのモニタリング体制を構築し、ネガティブな情報の拡散を早期に察知します。
  • SNSでの対処ガイドラインを策定し、炎上を避けるためのコミュニケーション戦略を準備します。

労働災害・パンデミック:従業員の安全と健康を守る

従業員の安全と健康は、企業にとって最も基本的な危機管理の側面です。
職場における安全衛生管理の徹底:
労働安全衛生法遵守はもちろんのこと、ヒヤリハット報告、リスクアセスメント、安全衛生訓練を定期的に実施します。

感染症流行時の事業継続と従業員サポート:

  • パンデミック発生時の出勤ルール、リモートワーク体制の整備、衛生マニュアルの作成。
  • 従業員の心身の健康サポート(相談窓口の設置、メンタルヘルスケア)も重要な要素です。

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5.【Q&A】危機管理に関するよくある疑問を解消

危機管理はどの部署が主導すべきですか?

危機管理は、全社的な取り組みであるため、特定の部署が単独で主導するのではなく、経営層のコミットメントの下、経営企画部門や総務部門が事務局となり、関連部署(法務、IT、人事など)と連携して推進すべきです。特に、危機対策本部の設置と、各部門からの代表者の参加は必須です。

中小企業でも大企業のような危機管理体制は必要ですか?

はい、必要です。危機は企業規模を選びません。むしろ中小企業の場合、一度の危機が事業存続に直結する可能性が高いため、より喫緊の課題となり得ます。大企業のような大規模な体制は難しくても、核となるBCPの策定、マニュアルの整備、そして定期的な訓練は、被害を最小限に抑える上で不可欠です。専門家のアドバイスを活用し、自社に合った体制から始めることを強く推奨します。

危機管理投資の費用対効果を経営層にどう説明すれば良いですか?

危機管理への投資は、「保険」のようなものです。目に見える短期的な売上には繋がりませんが、危機発生時の損害(事業中断による逸失利益、ブランド毀損による長期的な影響、法的費用など)を未然に防ぐ、あるいは最小限に抑えることで、結果的に多大なコスト削減と企業価値の維持に貢献します。過去の事例や業界の統計データを引用し、「危機が発生した場合の潜在的損失」と「対策を講じた場合の回避可能コスト」を具体的に示すことが有効です。

参考例: 2024年版 日本企業のサイバー攻撃対策調査報告書 (日本情報経済社会推進協会) 2024年版 日本企業のサイバー攻撃対策調査報告書https://www.jipdec.or.jp/activities/research/cyber_attack.html

危機管理体制を構築した後、形骸化させないためには何が必要ですか?

危機管理体制の形骸化を防ぐためには、以下の3点が特に重要です。

定期的な訓練とシミュレーション:マニュアルの習熟度を確認し、課題を発見する機会を設けます。

マニュアルの継続的な見直しと更新: 法改正、技術の進歩、新たなリスクの出現に対応し、常に最新の状態に保ちます。

従業員への意識啓発: 危機管理は一部の担当者だけでなく、全従業員が意識すべきものと浸透させるための定期的な情報発信や教育を行います。

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6.まとめ:強靭な企業を築くために「今」始める危機管理

本記事では、危機管理の基本的な定義から、リスク管理やBCPとの違い、そして具体的な体制構築ステップ、さらには多様な危機への対処法までを詳細に解説しました。

私たちが伝えたい最も重要なメッセージは、危機管理は決して他人事ではなく、すべての企業が「今」取り組むべき喫緊の課題であるということです。予期せぬ事態はいつ発生するか分かりません。しかし、適切な準備と体制があれば、その被害を最小限に抑え、企業の継続性を守ることができます。

自社の危機管理体制に課題意識を持つ経営企画部門や総務部門の皆様には、ぜひ本記事の内容を参考に、次の一歩を踏み出していただきたいと願っています。

強靭な企業を築くための最終チェックリスト

強靭な企業を築くための最終チェックリスト
☐自社が直面しうる潜在的リスクを網羅的に洗い出し、評価しましたか?
☐危機管理マニュアルは策定され、誰でも理解できる内容になっていますか?
☐従業員向けの訓練やシミュレーションを定期的に実施していますか?
☐情報共有と意思決定のプロセス(エスカレーションルール)は明確ですか?
☐自然災害、サイバー攻撃、不祥事など、主要な危機への具体的な対処法を検討しましたか?
☐定期的な見直しと改善の仕組みがありますか?
☐必要に応じて、外部の専門家との連携を検討していますか?
☐DXやITツールの活用により、危機管理を強化していますか?

これらのチェックリストを活用し、まずは自社の現状を把握することから始めてください。もし、具体的な体制構築やマニュアル作成、訓練実施でお困りであれば、私たち「危機管理DX推進チーム」にご相談ください。貴社に最適なソリューションを、実践的な知見に基づいてご提案いたします。

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監修者情報

反町 雄彦 そりまち かつひこ

株式会社東京リーガルマインド 代表取締役社長/弁護士

1976年 東京都生まれ
1998年 11月 東京大学法学部在学中に司法試験合格。
1999年 3月 東京大学法学部卒業。
4月

株式会社東京リーガルマインド入社、以後5年間、司法試験対策講座の講義を行い、初学者向けの入門講座から中上級向けの講座まで幅広く担当し、多くの短期合格者を輩出した。

2004年 3月 司法研修所入所。
2005年 10月 弁護士登録(東京弁護士会所属)。
2006年 6月 株式会社東京リーガルマインド取締役。
2008年

LEC司法試験対策講座統括プロデューサーを務め、以後、現在に至るまで資格試験全般についてクオリティの高い教材開発に取り組んでいるほか、キャリアデザインの観点から、多くの講演会を実施している。

2009年 2月 同専務取締役。
2011年 5月 同取締役。
2014年 4月 同代表取締役社長。
2019年 4月 LEC会計大学院学長
2023年 東京商工会議所中野支部・情報分科会長に就任
2024年 一般社団法人ラーニングイノベーションコンソシアムの理事に就任

反町 雄彦社長

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