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適切な価格転嫁とは?

適切な価格転嫁とは?

本コラムでは、下請事業者から価格転嫁の交渉要請を受ける発注元(親事業者)が注意すべき事項、特に公正取引委員会が定めた指針(労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針)を解説します。また、その前提として、下請法の基本的知識も解説します。

おすすめの方
発注企業側で、価格交渉や転嫁に後ろ向きであるとして企業名が公表されてしまった会社にお勤めの方(特に、経営トップや調達部門の責任者)
発注企業側で、公正取引委員会から勧告や指導を受けた経験のある方
下請企業側で、エネルギーや人件費などのコスト増に苦しんでいる方
下請企業側で、発注企業から不当な返品や減額の要求を受けたことがある方

2023年から、円安やウクライナ紛争などの影響によって原油や飼料、様々な原材料の価格が高騰し、コストプッシュ型のインフレとなりました。大企業を中心に賃上げは行われたものの物価高と比べると不十分です。最低賃金が全国平均で1000円を突破した2023年10月ですら実質賃金は前年同月比で2.3%減少、19か月連続でマイナスという状況が続いています。
政府はデフレからの完全脱却を目標として掲げています。すでに大企業ではベースアップ、ボーナスの大幅増額が行われているので、今後の課題は中小企業における賃上げです。中小企業、特に大企業の下請けをしている企業ではコスト高を製品・サービス価格へ転嫁することが難しく、それが賃上げの障害となっています。そこで、公正取引委員会は下請法の運用基準を改正して、コスト増に苦しむ中小企業(下請事業者)が発注企業(親事業者)に対して価格転嫁を交渉できるようにしました(2023年11月)。そして、価格交渉や転嫁に消極的な企業名が公表される事態にもなっています。

1.下請法の基本的知識その1(適用場面)

下請法は、規模が大きい会社が中小企業や個人事業主に対して不当な要求をすることがないよう規制する法律です。独占禁止法が禁止している「優越的地位の濫用」禁止を徹底するため、特に濫用事例が多い下請取引について具体的に禁止行為を定めています。正式名は「下請代金支払遅延等防止法」という名称であり、仮に下請事業者が合意していても、(発注時に定めていた)代金を後から減額したり、支払いを遅らせたりすることはできません。対等な交渉が期待できない二者間であるので、私的自治に任せることなく、強行規定となります。すなわち、契約書よりも法律の定めが優先されます。
下請法が適用される場面は、発注事業者と下請事業者の規模に格差があることが前提です。企業規模をどのように測るか画一的な基準は難しいので、下請法は便宜的に資本金の額を基準としています。まずは、(1)資本金1000万円を基準として、資本金1000万円超の会社が資本金1000万円以下の会社・個人事業主へ発注する場面において適用されます。次に、(2)-①物の製造・加工、修理、プログラムの作成、サービスのうち運送・倉庫保管および情報処理を委託する場合には、資本金3億円が基準となり、資本金3億円超の会社が資本金3億円以下の会社・個人事業主へ発注する場面において適用されます。委託業務が(2)-②プログラム以外の情報成果物(例えば、書籍・原稿・設計図などの執筆、イラストや商品デザイン、映像コンテンツなどを広く含む)、サービスのうち(2)-①で規制される「運送・倉庫保管・情報処理」以外のもの(例えば、給与計算や清掃、コールセンター事務など)を委託する場合には、資本金5000万円が基準となり、資本金5000万円超の会社が資本金5000万円以下の会社・個人事業主へ発注する場面において適用されます。
以上のように、(1)全ての発注業務について資本金1000万円が分かれ目となること、そして(2)発注する業務の種類によって企業規模の分かれ目が資本金3億円と資本金5000万円とで異なってくること、の2つを理解することが出発点です。したがって、そもそも資本金が1000万円以下の会社が発注事業者となる場合には下請法の適用はありません。なお、下請法が適用される場面における発注事業者は、法律上「親事業者」と呼ばれます。以下、「親事業者」と「下請事業者」という用語を使います。

2.下請法の基本的知識その2(親事業者が守るべき義務、違反事例)

2-1 .親事業者が守るべき義務

下請事業者が搾取されてしまう原因として、発注業務の中身があいまいで、いったん納品した製品やサービスに対して難癖をつけられて、代金が減額されたり、不当に修繕やサービス改善を要求されたりする、という問題点があります。そこで、下請法3条は、親事業者が守るべき義務として、発注にあたって発注内容を明確に定めた書面を交付することが必要と定めています。

発注の際に交付する書面(3条書面)に記載すべき事項
①発注者及び受注者の名称
②発注日
③発注内容
④納期、納品場所
⑤発注者が検査をする場合は検査を完了する期日
⑥代金の額または算定方法
⑦代金の支払期日
⑧代金を手形で支払う場合は手形の金額及び手形の満期 など

特に、代金支払について下請事業者が弱い立場に陥ることが多いため、特別な規定があります。まず、支払期日について「納品後60日以内」であることが義務付けられます。これは強行規定であり、仮に下請事業者が60日を過ぎての支払いに合意しても、その合意は無効です。例えば、「毎月10日締めの翌々月15日払い」という条件で下請事業者へ発注している場合、3月11日に納品された製品の代金は5月15日に払われることになり、60日を超えており、違反となります。
なお、多くの会社では「毎月20日締めの翌月末払い」といった条件が多いようですが、納品後の検査を終えたものを「締め」としてしまうと、検査に時間がかかって納品月の翌月20日締めに回ってしまうと違反となるので注意が必要です(例えば、3月11日に納品された製品の検査に2週間かかってしまい4月20日締めとなると、支払いが5月末となるので、60日を超えます)。60日を超過した日から実際に支払われた日までの期間について、年率14.6%の遅延損害金の支払い義務が生じます(民法上の遅延損害金の利率は3%なので、非常に高利)。
その他、代金支払いについては、発注した際の代金を後から減額したり、手形支払いの場合にその満期が長期にわたったり(原則的に、手形交付から120日以内であることが必要)、といった行為も禁止されます。もちろん、発注時の交付書面で定めていた支払期日を遅延することも下請法違反です

さらに、親事業者が自身の強い立場を悪用して、下請事業者に不当な要求をしないよう、様々な禁止行為が定められています。以下の禁止事項は、仮に下請事業者が合意していたとしても合意が無効となり、違反事例として、親事業者は制裁を受けることになります。

下請事業者保護の観点から、親事業者に禁止される行為
①買いたたきの禁止(市場価格に比べて著しく低い代金額を定めることの禁止)
②不当な発注内容の変更(例えば、発注数量が減らされてしまうと、発注時に定めた単価では利益が出なくなってしまうケースもあるので、数量の減少も禁止)
③不当な受領拒否や返品、無償でのやり直し・交換要請
④不当な経済上の利益の提供要請(例えば、発注業務に入っていないのに、下請事業者の従業員を親事業者の店舗へ無償で派遣するよう要求する行為)
⑤物の購入強制、サービスの利用強制(例えば、下請事業者が業務を遂行する際に、親事業者の指定する決済代行やシステム利用を条件とする行為)
※なお、⑤に関連して、製造委託の場面では、品質を一定に保つために親事業者が下請事業者に対して提供する原材料を使って製造することが条件となる場合があります。これは⑤の例外として許容されていますが、その原材料の対価決済について下請事業者への代金支払いよりも前にすることは禁じられます(有償支給原材料の対価の早期決済の禁止)。

2-2.下請法の違反事例

下請法が適用される取引については、親事業者が取引記録を書面として作成して2年間保管することが義務付けられています。下請法違反がないか、公正取引委員会や中小企業庁は定期的に調査を行います。近年では、年2回、3月と9月が集中的なフォローアップ調査月間とされ、下請事業者(約30万社を超える規模)へのアンケート調査が行われています。そして、違反が疑われると立ち入り検査もあります。親事業者としては、違反がないことを証明するために、取引記録の保管が必須となります。
公正取引委員会が、違反のおそれ有と判断した親事業者に対しては、指導・勧告を行います。そして、勧告を受けた企業名は公表されます(例えば、2023年は8件の企業が公正取引委員会のHPにおいて、具体的な違反事実・勧告内容とともに公表されています)。 HP上にずっと残るのは勧告を受けた企業だけですが、実際には指導を受けた時点で報道されるケースもあります。そして、公正取引委員会の発表資料によると、2022年度(2022年4月〜2023年3月)の下請法違反の件数は勧告が6件に対して、指導が8,665件にも及びます。

指導件数の推移
指導件数の推移

また、同発表によると、下請代金の不当な減額など下請事業者が被った不利益に対して親事業者180社が行った原状回復の総額は11億3465万円にものぼります。

原状回復額の推移
原状回復額の推移

非常に多くの下請法違反が摘発されていますので、決して他人事と思わずに、経営トップや内部統制の部門が調達の現場へ入って第三者の目でチェックをするべきです。特に、下請事業者との関係が長期にわたっていると、法律の規制を建前として軽視していたり、安易に納品物の検査・不当なやり直しを要求していたり、場合によっては親事業者の製品・サービスの購入を要請していたり、といった違反行為が平然と行われていることもあります。
なお、刑事罰としては、3条書面を交付しなかったり、取引記録に関する書類の作成・保管を怠ったり、公正取引委員会の検査を妨害したり虚偽報告をしたり、といった悪質性が高い場面に限られますが、親事業者(法人)および代表者・従業員(違反行為をした個人)に対する50万円以下の罰金刑が定められています。

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3.価格転嫁の実態(価格交渉促進月間のフォローアップ調査結果より)

価格転嫁とは、原材料や光熱費、人件費の上昇分を下請事業者が親事業者に対する製品代金やサービス価格へ上乗せすることを意味します。継続的な取引関係においては、前年度の価格が基準となるので、前年度よりもコストが増えている場合に、その増加分を発注元に負担してもらうためには、特別な交渉が必要となります。また、複数年にわたって固定価格で納品することを契約済で、途中での価格見直し条項がない場合であっても、価格上昇(価格転嫁)の交渉が一切できなくなるわけではなく、下請事業者はその契約期間中に価格転嫁を申し出ることは当然、許されます。
政府は中小企業においても継続的な賃上げが実現されることを重要な政策目標としています。そのため、2021年の年末から、価格転嫁交渉を下請事業者が要請できるよう強力に後押しをしています。例えば、以下のように運用基準の見直し・調査が行われました。その総決算ともいえるのが、次の章で解説する「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針(2023年11月29日)」です。なお、中小企業庁は企業間の適切な取引を促す「振興基準」が2024年3月から改定され、その改定も上記指針に基づいて「適切なコスト増加分の全額転嫁を目指す」ものとなります。振興基準は大手企業などの発注企業と下請け企業などの受注企業の双方に適切な取引を促すもので、法的拘束力はありませんが、基準を守らなかった場合に各省庁が企業を指導・助言する根拠になります。

2021年末からの動き
2021年末からの動き

さらに、経済産業省・中小企業庁は毎年3月と9月を価格交渉促進月間と定め、価格交渉に役立つ知識を下請事業者に身につけてもらうための講習会を実施したり、特別な相談窓口を設けたり、弁護士などの専門家を派遣したり、といったサポート体制を整えています。
以上のような行政による後押しの結果、2023年3月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査結果によれば、中小企業の6割以上が「価格交渉を申し入れて応じて貰えた/発注側からの声かけで交渉できた」と回答し、また、約4割が「高い割合を価格転嫁できた」と回答しています。

価格交渉促進月間の結果

4.公正取引委員会の指針により、親事業者が採るべき措置

2023年11月29日、円安や燃料費・原材料の急騰を踏まえて、コスト増に苦しむ中小企業が価格転嫁を交渉できるよう、公正取引委員会が新たな指針を発表しました(労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針)。この指針はPDFで28ページにも及びますが、概要をまとめると、親事業者として採るべき6つの措置が定められています。

1点目は、経営トップの関与です。
「①労務費の上昇分について取引価格への転嫁を受け入れる取組方針を具体的に経営トップまで上げて決定すること、②経営トップが同方針又はその要旨などを書面等の形に残る方法で社内外に示すこと、③その後の取組状況を定期的に経営トップに報告し、必要に応じ、経営トップが更なる対応方針を示すこと」が必要です(「 」内は指針内の表現。以下、同じ)。下請事業者との窓口は親事業者の調達部門ですが、調達部門のマインドは「価格をできるだけ低く抑えつつ質を保つこと」を至上命題としてしまうので、下請事業者が交渉を申し入れても、なかなか前向きになってもらえません。そこで、親事業者の経営トップ自身が「たとえ短期的にはコスト増となろうとも、労務費の上昇分の取引価格への転嫁を受け入れていく具体的な取組方針及びその方針を達成するための施策について意思決定し、社内の交渉担当者や、取引先である受注者に対し、書面等の形に残る方法で同方針又はその要旨などを示す、といった経営トップのコミットメントが求められる」とされます。

2点目は、発注者側からの定期的な協議の実施です。
「受注者から労務費の上昇分に係る取引価格の引上げを求められていなくても、業界の慣行に応じて1年に1回や半年に1回など定期的に労務費の転嫁について発注者から協議の場を設けること。特に長年価格が据え置かれてきた取引や、スポット取引と称して長年同じ価格で更新されているような取引においては転嫁について協議が必要であることに留意が必要」とされています。また、定期的な協議、交渉の記録を作成して、親事業者・下請事業者の双方で保管すべき、とされます。

3点目としては、親事業者下請事業者のコスト増の根拠資料を求める場合は公表資料とすることです。
公表資料の具体的な例としては、「都道府県別の最低賃金やその上昇率」「春季労使交渉の妥結額やその上昇率」「国土交通省が公表している公共工事設計労務単価における関連職種の単価やその上昇率」「一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃」などが挙げられています。 親事業者が価格転嫁を拒む口実として、コスト増に関して過度に詳細な根拠資料を求めたり、下請事業者が明らかにしたくない内部情報の提出を求めたりする事例が、公正取引委員会による調査で多く見られたことが理由とされます。

4点目に、サプライチェーン全体での適正な価格設定が求められます。
具体的には「労務費をはじめとする価格転嫁に係る交渉においては、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁による適正な価格設定を行うため、直接の取引先である受注者がその先の取引先との取引価格を適正化すべき立場にいることを常に意識して、そのことを受注者からの要請額の妥当性の判断に反映させること」とされています。

5点目は「受注者から労務費の上昇を理由に取引価格の引上げを求められた場合には、協議のテーブルにつくことです。
労務費の転嫁を求められたことを理由として、取引を停止するなど不利益な取扱いをしない」として、要請があった場合に交渉に応じるべきこと、当然、要請を不利益に評価しないこと、が定められています。

6点目として「受注者からの申入れの巧拙にかかわらず受注者と協議を行い、必要に応じ労務費上昇分の価格転嫁に係る考え方を提案すること」とされ、下請事業者の知識不足を悪用せずに、価格転嫁を積極的に行うよう真摯に対応すべし、とされています。
実務的には、下請事業者が価格転嫁の交渉を要請する際に活用しやすい申請書のフォーマットを親事業者側で用意しておくこと(もちろん、このフォーマット使用を強制するものではなく、他の書式での申請も受け付けるが、あくまで一例として)が有効とされます。

5.価格転嫁を求める下請事業者が注意すべき事項

先ほど解説した公正取引委員会の指針(労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針)では、下請事業者側も注意すべき事項が定められています。交渉術の基本とも言えますが、まずは交渉に入る前に、中小企業庁が設けている相談窓口・専門家派遣、HPで公開されている「中小企業・小規模事業者の価格交渉ハンドブック」などを積極的に活用すること、が定められています。

また、交渉を申し入れるタイミングとして、下請事業者が比較的優位な機会を利用すること、とされています。最近では、価格転嫁に後ろ向きな企業名が具体的に公表されています。例えば、2024年1月12日、「価格交渉促進月間(2023年9月)フォローアップ調査の結果について」が公表されました。

この調査では、2023年10〜12月に約30万社の下請事業者を対象に行われたアンケート調査(約3万6000社から回答を得た)に基づいて、「価格交渉の回答状況」「価格転嫁の回答状況」の2つを点数化して、220社もの親事業者について4段階で結果を公表しています。4段階で最低ランクに位置づけられた企業は価格転嫁に後ろ向き、と報道されて、何らかの対応を採ることが社会的に求められています。こういった報道のタイミングをうまく利用することが求められています。

6.価格転嫁に応じることと、親事業者の企業価値向上

価格転嫁に応じれば、短期的には調達コストが増加し、収益が悪化します。しかし、今まで詳しく述べてきたように、公正取引委員会や中小企業庁は強力に価格転嫁を実現するために、定期的な調査を行い(下請けGメンと呼ばれる調査員が倍増されています)、価格転嫁に後ろ向きな企業名を定期的に公表します。

今はSNS等で企業の悪い評判が一気に拡散される時代です。特に、人権意識、弱者への配慮が高度に要求されます。価格転嫁への消極的な態度は、弱い立場にある下請事業者へのイジメとして受け取られる恐れがあります。例えば、「環境保護・SDGsを大事にしています」とか「従業員の待遇、健康に配慮しています」といったメッセージを発信している一方で、下請事業者に対しては過度に厳しい態度であり続けることは、もはや許されない時代となっています。
自社の利益、従業員の待遇だけを求める強欲資本主義ではなく、共助資本主義・公益資本主義を達成できるよう、下請事業者との共存共栄を目標とすることが、結果的に、企業価値の向上につながります。

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7.まとめ

この世界は弱肉強食、適者生存の厳しい競争社会であり、できるだけ安い価格で仕入れて、できるだけ高く売って自社が儲かればいい、という考え方は21世紀には通用しません。欧米はもちろん、アジア諸国が経済成長を遂げている中、わが国が「失われた30年」という停滞に陥ってしまった要因の1つとして、長く続くデフレ状況があります。国内消費を盛り上げて、デフレから脱却するためには、実質賃金の上昇が不可欠です。そして、雇用の7割は中小企業によるものであり、その多くはコスト増に苦しんでいます。価格転嫁を適正に行って、中小企業でも従業員の賃上げを実現することは経済規模(パイ)そのものを大きくし、結果的に、大企業にも恩恵があるのです。共助資本主義・公益資本主義は多様な意味を含みますが、「企業は短期的な株主利益の最大化だけでなく、従業員、取引先、顧客、地域社会といった幅広い利害関係者の利益に配慮して経営を行うべき」との考え方が基本です。そして、政府はこの考え方を実現するために、下請法を強力な武器としています。1社でも多くの企業が下請法の重要性を認識して、自社の行動を真摯に見直し、下請事業者と交渉して適正な価格転嫁を実現できるようになることを期待して、本コラムを終えます。

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監修者情報

反町 雄彦 そりまち かつひこ

株式会社東京リーガルマインド 代表取締役社長/弁護士

1976年 東京都生まれ
1998年 11月 東京大学法学部在学中に司法試験合格。
1999年 3月 東京大学法学部卒業。
4月

株式会社東京リーガルマインド入社、以後5年間、司法試験対策講座の講義を行い、初学者向けの入門講座から中上級向けの講座まで幅広く担当し、多くの短期合格者を輩出した。

2004年 3月 司法研修所入所。
2005年 10月 弁護士登録(東京弁護士会所属)。
2006年 6月 株式会社東京リーガルマインド取締役。
2008年

LEC司法試験対策講座統括プロデューサーを務め、以後、現在に至るまで資格試験全般についてクオリティの高い教材開発に取り組んでいるほか、キャリアデザインの観点から、多くの講演会を実施している。

2009年 2月 同専務取締役。
2011年 5月 同取締役。
2014年 4月 同代表取締役社長。
2019年 4月 LEC会計大学院学長

反町 雄彦社長

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