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不動産業界で役立つ資格7選

不動産業界で役立つ資格7選イメージ

不動産業界と一口に言っても管理・契約・調査等多くの分野に分かれてたり、各分野で必要となる資格も異なってきます。また、日常生活や金融関連など広く関わる法律系資格など異なる分野があるのです。複数の資格を取得することで対応できる業務範囲は広くなり、不動産業界で広く活躍できます。本コラムでは、宅建士(宅地建物取引士)を始めとした業種ごとに、取得すると有利な国家資格をご紹介します。

1.不動産業界で働くには資格は必要?

冒頭で述べたように不動産業界と言っても広く、就きたい業種によって免許や資格の取得が必要になる場合があります。例えばイメージしやすい町の不動産屋さんでは、宅建士(宅地建物取引士)の資格を持たなくても物件の案内といった業務を行うことは可能ですが、重要事項の説明など一部業務は資格を必須とするため、業務範囲が狭まってしまいます。プロとして長く不動産業界で務めるなら、宅建士の資格取得は必須と考えておきましょう。

また、業務の延長線上で別の資格を持っていると、仕事の幅が広がるということも多々あります。「宅建とファイナンシャルプランナー(FP)」のダブルライセンスですと、売買取引を希望しているお客様に対して重要事項説明以外にも、ライフプランのご提案や資金計画など包括的な対応が可能となります。ご自身のキャリアをイメージしながら、ダブルライセンス・更にはトリプルライセンスも検討してみてはいかがでしょうか。

2.不動産賃貸業なら資格は不要?!
不動産仲介業では、宅建士(宅地建物取引士)の資格が必須!

多くの賃貸不動産会社は宅建免許を取得しているため、宅建士(宅地建物取引士)と宅建免許が必須と思われそうですが厳密には違います。行う業務によって宅建免許を必要とします。

ご自身や周りで「転勤している間だけ、持ち家を知り合いに貸したい」・「所有している賃貸アパートを学生に貸す大家さん」・「会社が所有している物件を社宅として社員に貸し出す」といった事例はイメージしやすいかと思います。この場合は「自分所有の物件を賃貸借する」という行為であるため、宅建士および宅建免許は必要ありません。
ですが、「宅地又は建物に関し、他人が売買、交換又は貸借するに、その代理若しくは媒介する行為」に該当する場合、宅建免許が必要となります。
上記の例でいえば「大家さんの代理として不動産会社が大学生と賃貸借契約を行う」といった具合です。

また、宅建業の免許が無い者は、宅建業を営むことが禁じられています。宅建業であるかどうかは「反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、一回限りの取引として行おうとするものは事業性が低い」という考えに基づいて判断されます。業務として日常的に売買・賃貸借契約を行っているのであれば「反復継続」とみなされます。
多くの不動産会社では売買(宅地・建物)取引、賃貸業、貸しアパートやマンションをオーナーから預かり管理する業務をまとめて行っているケースが多いため、宅建士(宅地建物取引士)と宅建免許を取得しているのです

3.不動産業界で役立つ資格とその理由 7選

資格名 資格概要
宅地建物
取引士
不動産取引に関するプロフェッショナルです。宅建業は勿論、不動産を担保とする金融業や、新規出店を計画する小売業など、畑違いの業界でも大きな武器となる国家資格
賃貸不動産
経営管理士
賃貸住宅の管理を専門とする唯一の資格です。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律おける「業務管理者」の要件とされた法体系に基づく国家資格です。
マンション
管理士
マンション管理の国家資格です。マンションで発生する日常的な事から、大規模修繕、建替え等様々な問題を取り扱い、管理組合の相談に応じ解決していく時代が求めるスペシャリストです。
管理業務
主任者
管理組合に管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な国家資格です。
不動産
鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の適正な価格を判断できる唯一の国家資格です。
土地家屋
調査士
不動産登記の「表示に関する登記」を、お客様の代わりに申請する職業です。公共性が高いこの職業につけるのは国が定めた「土地家屋調査士」の資格をもつ者だけです。
FP(ファイ
ナンシャル・
プランナー)
FPは、お金にまつわる知識をベースに顧客が望むライフプラン(生涯生活設計)のコンサルティングを行う総合アドバイザーです。

4.不動産関連の資格

4-1 宅地建物取引士

資格名 試験種類 2021年受験者数 合格率
宅地建物取引士 国家資格 209,681名 15%

不動産業界に勤めるのであれば、基本となる資格が「宅建」もしくは「宅建士」。略称で呼ばれることが多いのですが、正式名称は「宅地建物取引士」です。併せて試験の名称は「宅建試験(宅地建物取引士資格試験)」です。

不動産トラブルを防ぎ、取引をスムーズに進めるための国家資格であり、宅建士の業務内容をまとめると下記3つの独占業務が挙げられます。

・重要事項説明書面への記名と押印
・重要事項説明書面の内容の説明
・37条書面への記名と押印
いずれも重要な業務であり、この業務を宅建士以外が行うと大きな罰則を受けます。

メリット:

宅建資格は合格すると一生有効な資格です。(なお、宅建士の免許証は5年に1度の更新手続きが必要です。)そのため企業様の集合研修やキャリアアップ支援のため資格手当対象、人事制度対象など積極的に取り組む不動産会社が多いです。
この宅建士を足掛かりとして、ダブルライセンス・トリプルライセンスを目指してキャリアアップしょう

ちなみに!宅建試験に合格しただけでは宅建士にはなれません。受験した都道府県に宅建士証の交付申請をしなければいけませんが、この際も実務経験が2年以上を必要条件となります。
「実務経験が無い、または2年未満の方が宅建試験を受験し、合格したとしても宅建士証の申請ができない!」という方は、登録実務講習を受講しましょう。
登録実務講習を受講し、合格することで必要条件を満たし、宅建士証の交付申請が可能となります。

余談ですが、宅建試験に合格後、10年以上も宅建士証の交付申請を行わなかったとしても問題ありません。宅建試験の合格と宅建士証の交付申請に有効期限がないのです。必要となったときに申請を行うか、実務経験2年以上が満たせていない場合はその時に登録実務講習を行ったあと申請しましょう。

4-2 賃貸経営不動産管理士

「親からアパートを相続で引き継いだが賃貸物件の管理ができない」といったケースや「大家が高齢になり管理できない」などの理由で、所有物件の管理を賃貸住宅管理会社へ委託するケースが増えています。

しかし、不動産トラブルも増えていく背景から、正しい知識・技能・倫理観を持った専門家が求められ、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」から本資格は2021年4月に国交省令で国家資格となりました

同時に、管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者は、事務所または営業所毎に賃貸不動産経営管理士を1名以上設置することが義務付けられます。このことから、非常に需要が高い資格と言えます。

メリット:

宅建士と同じぐらい実用性が高いと言われている賃貸不動産経営管理士。不動産会社では物件管理をしている会社が多く、規模によっては先に述べたように複数人の設置も義務付けられているため、就職・転職に大変有利です。一部の大学や企業では、学生時から取得を推奨しているケースも見受けられ、注目度の高い資格と言えるでしょう。

4-3 マンション管理士

資格名 試験種類 2021年受験者数 合格率
マンション管理士 国家資格 12,520名 9.9%

マンション管理士は分譲マンション住人側の強い味方。業務範囲が多岐にわたり、専門知識を有したコンサルタント・アドバイザーとしての立ち位置が求められることから、難関の国家資格となります。

業務例は住民トラブルの解決から始まり、

・マンション管理規約の作成や更新業務のサポート
・マンション管理組合の運営・会計管理のサポート
・大規模修繕積立金の取り扱い、大規模修繕工事の依頼手続きのサポート
などが代表として挙げられます。

メリット:

マンション管理士として独立開業する場合もありますが、多くは不動産会社をはじめとした企業に在籍しつつも、委託を受けてマンション管理士として参加する形です。この場合、住人・オーナーと信頼関係を構築することができ、その後の不動産売買に繋がることがあります。売買をメインとした不動産会社の営業マンですと、ダブルライセンスの候補としておすすめです。

4-4 管理業務主任者

資格名 試験種類 2021年受験者数 合格率
管理業務主任者 国家資格 16,538名 19.4%

マンション管理士と間違われやすい「管理業務主任者」、どちらもマンション価値の維持・向上を目指して業務を遂行しますが、管理業務主任者の大きな違いは「マンションの管理側の立場に立っている」というところです。

管理会社に籍を置き、独占業務で住人と管理会社の橋渡しを行います。
橋渡しとなる業務は「管理委託契約の際、重要事項の説明や契約書に関わる業務」が代表的と言えます。

また、マンション管理会社は管理委託30契約ごとに1人の管理業務主任者の設置が義務付けられており、マンションの増加に伴い需要が大きい資格であるといえます。

メリット:

管理業務主任者の資格を活かす場合、マンション管理会社に就職するケースが多いです。こちらも設置義務があることから、絶えず需要があります。また、宅建士とのダブルライセンスで見てみると、管理業務主任者の資格取得で必要となるマンションの建物構造や設備に関する知識が大いに役立ちます。

4-5 不動産鑑定士

資格名 試験種類 2021年受験者数 合格率
不動産鑑定士 (短答) 国家資格 1,709名 36.3%
(論文) 809名 16.7%
※不動産鑑定士試験は、短答式・論文式の2段階選抜方式で実施されます。

全国にわずか約8,000人しかいない希少資格である不動産鑑定士。
その名称から「土地や建物を鑑定して、価格や価値を見定める人」とイメージする人も多いと思います。
最終的には「不動産鑑定評価書の作成」を行い、価値を決めることを生業としています。
ですが、価値を決めるまでのアプローチが大変多岐に渡り、多くの専門知識を必要とします。

メリット:

建物・土地の現地調査(周辺地域の状況分析・将来の動向予測も含む)や役所・法務局を巡って各種権利の確認等、まさに多方面から鑑定を行います。その他、不動産鑑定士はコンサルタントの一面も大きいため、不動産業界において最強の資格と言えるでしょう。

不動産関連資格イメージ

4-6 土地家屋調査士

資格名 試験種類 2021年受験者数 合格率
土地家屋調査士   3,859名 10.4%

土地調査のプロである「土地家屋調査士」、こちらも不動産鑑定士に負けず劣らず、難しい難関資格です。

では、同じように土地の測量・調査を行っている「測量士」と何が違うのでしょうか?それは「土地家屋調査士だと登記を行うことが可能」という部分が最大の違いです。

日本では「実際の測量面積と公簿面積の差異」や「土地の境界・筆界が明確ではない状況」が多く見受けられます。当然、土地家屋を売買する際には明確にする必要がありますが、一般の人ではすべてを行い登記申請を完了させるのは至難の業です。そこで土地家屋調査士は「土地の境界と用途を確認し、土地面積の登記を代理で行う事が可能な資格」なのです。
以上のことから実需は非常に高く、難関でありながらもチャレンジするに値する資格と言えます。

メリット:

上記の説明にもありますが「不動産の表示に関する登記の代理」が土地家屋調査士の独占業務です。そのため需要は安定しており、稼げる資格と言えます。ダブルライセンスに関して言えば、宅建士よりは行政書士がおすすめです。同じ申請関連を生業としており、二つの資格で業務を補える形になります。

4-7 ファイナンシャルプランナー

資格名 試験種類 2021年受験者数 合格率
FP(ファイナンシャル・プランナー)
3級
学科 国家資格 39,495名 87.0%
実技 40,324名 90.8%
FP(ファイナンシャル・プランナー)
2級
学科 27,889名 41.5%
実技 23,186名 56.3%
※2022年1月受験者数

FPの略称でも有名な「ファイナンシャル・プランナー」はお金にまつわる知識をベースに顧客が望むライフプラン(生涯生活設計)を 実現させるためにコンサルティングを行う、ライフプランの総合アドバイザーです。

2級FP技能士の受検資格は、3級試験に合格(学科と実技の両方)しているか、あるいは2年以上のFPに関する実務経験(金融機関勤務やFP開業など)またはFP協会の認定研修修了者となっています。検定試験は金財とFP協会の両方で実施しており、AFPの資格審査試験を兼ねています。

メリット:

FPの略称でも有名な「ファイナンシャル・プランナー」は、顧客にライフプラン(生涯生活設計)を提案し、実現させるためにコンサルティングを行う事を主とします。
特に不動産業務においては宅建士と相性がとても良いです。
不動産売買において、一生に一度の買い物である家の購入は誰しも不安になるもの。そこでFP資格者として資金面のプランニングやローンのアドバイスを行う事は、顧客の安心と信頼を得られます

FPは3級から始まり、いくつかの種類があります。業務として認められるのであれば2級を目指しましょう。

5.まとめ

以上、宅建士を含めた「不動産業界で役立つ資格7選」資格難易度別・メリット別にご紹介でした。
宅建士から始まり、ダブルライセンスによってご自身のキャリアがどのように広がるのか、考えてみてはいかがでしょうか。

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