- 資格【不動産】
- 公開日:
更新日:
不動産業界で役立つ資格は?<10選>
宅建や国家資格の難易度・メリットや役立つダブルライセンスを解説

不動産業界と一口に言っても管理・契約・調査等多くの分野に分かれてたり、各分野で必要となる資格も異なってきます。また、日常生活や金融関連など広く関わる法律系資格など異なる分野があるのです。複数の資格を取得することで対応できる業務範囲は広くなり、不動産業界で広く活躍できます。本コラムでは、宅建士(宅地建物取引士)を始めとした業種ごとに、取得すると有利な国家資格をご紹介します。
※「不動産業界で役立つ資格7選」にダブルライセンスや関連資格など最新情報を加えて更新しました。
先ずはお問い合わせください!
LEC東京リーガルマインドは貴社の人材育成を成功させるため、集合研修・eラーニング研修・試験対策研修・ブレンディング研修まで、様々なプランをご用意しております。詳細資料のご請求やお見積りのご依頼は、お気軽に法人事業本部まで。
1.不動産業界で働くには資格は必要?
冒頭で述べたように不動産業界と言っても広く、就きたい業種によって免許や資格の取得が必要になる場合があります。例えばイメージしやすい町の不動産屋さんでは、宅建士(宅地建物取引士)の資格を持たなくても物件の案内といった業務を行うことは可能ですが、重要事項の説明など一部業務は資格を必須とするため、業務範囲が狭まってしまいます。 プロとして長く不動産業界で務めるなら、宅建士の資格取得は必須と考えておきましょう。
また、業務の延長線上で別の資格を持っていると、仕事の幅が広がるということも多々あります。「宅建とファイナンシャルプランナー(FP)」のダブルライセンスですと、売買取引を希望しているお客様に対して重要事項説明以外にも、ライフプランのご提案や資金計画など包括的な対応が可能となります。ご自身のキャリアをイメージしながら、ダブルライセンス・更にはトリプルライセンスも検討してみてはいかがでしょうか。
不動産賃貸業なら資格は不要?!
不動産仲介業では、宅建士(宅地建物取引士)の資格が必須!
多くの賃貸不動産会社は宅建免許を取得しているため、宅建士(宅地建物取引士)と宅建免許が必須と思われそうですが厳密には違います。行う業務によって宅建免許を必要とします。
ご自身や周りで「転勤している間だけ、持ち家を知り合いに貸したい」・「所有している賃貸アパートを学生に貸す大家さん」・「会社が所有している物件を社宅として社員に貸し出す」といった事例はイメージしやすいかと思います。この場合は「自分所有の物件を賃貸借する」という行為であるため、宅建士および宅建免許は必要ありません。
ですが、「宅地又は建物に関し、他人が売買、交換又は貸借するに、その代理若しくは媒介する行為」に該当する場合、宅建免許が必要となります。
上記の例でいえば「大家さんの代理として不動産会社が大学生と賃貸借契約を行う」といった具合です。
また、宅建業の免許が無い者は、宅建業を営むことが禁じられています。宅建業であるかどうかは「反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、一回限りの取引として行おうとするものは事業性が低い」という考えに基づいて判断されます。業務として日常的に売買・賃貸借契約を行っているのであれば「反復継続」とみなされます。
多くの不動産会社では売買(宅地・建物)取引、賃貸業、貸しアパートやマンションをオーナーから預かり管理する業務をまとめて行っているケースが多いため、宅建士(宅地建物取引士)と宅建免許を取得しているのです。
資格の掛け合わせを目指そう!ダブルライセンスで広がる活躍のフィールド
ダブルライセンスとは、複数の資格を合わせて取得することです。専門性をさらに高める効果があり、実務がスムーズに行えたり、業務の幅が広がります。
ここでは不動産業界で代表的な資格とダブルライセンスについて解説します。
2.不動産資格四冠とその難易度とは?
不動産業界では多くの資格が存在しますが、通称「不動産資格四冠」と呼ばれる宅地建物取引士(宅建士)、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士の4つの国家資格は特に重要視されています。 ここでは、それぞれの特徴や取得方法、難易度について詳しく解説します。
資格名 | 資格概要 |
---|---|
宅地建物 取引士 (宅建士) |
不動産取引に関するプロフェッショナルです。宅建業は勿論、不動産を担保とする金融業や、新規出店を計画する小売業など、畑違いの業界でも大きな武器となる国家資格 |
マンション 管理士 |
マンション管理の国家資格です。マンションで発生する日常的な事から、大規模修繕、建替え等様々な問題を取り扱い、管理組合の相談に応じ解決していく時代が求めるスペシャリストです。 |
管理業務 主任者 |
管理組合に管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な国家資格です。 |
賃貸不動産 経営管理士 |
賃貸住宅の管理を専門とする唯一の資格です。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律おける「業務管理者」の要件とされた法体系に基づく国家資格です。 |
先ずはお問い合わせください!
LEC東京リーガルマインドは貴社の人材育成を成功させるため、集合研修・eラーニング研修・試験対策研修・ブレンディング研修まで、様々なプランをご用意しております。詳細資料のご請求やお見積りのご依頼は、お気軽に法人事業本部まで。
宅建からステップアップ!おすすめの組み合わせ事例
宅地建物取引士 & マンション管理士
難易度★★、宅建との関連度★★★
マンション管理士をメインとして独立開業をする場合には、宅建の知識を持っていることでコンサルティングできる範囲が拡大し、ビジネスチャンスも広がります。
また、マンション売買の仲介等の際に知識を十分活かしより説得力の持った接客が可能です。宅建はマンション管理士と試験の出題数・形式が同じで、共通して活かせる知識も「権利関係」「宅建業法」「法令上の制限」と重複することから狙いやすいダブルライセンスの一つです。
宅地建物取引士 & 管理業務主任者
難易度★、宅建との関連度★★★
宅建と管理業務主任者のダブルライセンスは、不動産売買、賃貸管理、マンション管理、管理組合運営など幅広い業務に対応できる強力な組み合わせです。
宅建登用に管理業務主任者資格保持者でなければできない独占業務があり、宅建士として契約業務を担当し、管理業務主任者として物件管理やオーナー支援にも携わることが可能です。
宅建の学習内容(不動産契約や法規)は管理業務主任者の試験と重複しているため、効率よく勉強が進み、短期間での資格取得も狙えるおすすめの組み合わせです。
宅地建物取引士 & 賃貸不動産経営管理士
難易度★、宅建との関連度★★★
例えば、宅建士として不動産取引を行い、賃貸不動産経営管理士として賃貸経営や物件管理をサポートするエキスパートへと成長できます。賃貸不動産経営管理士試験は、宅建士で学習した民法が全50問中約10問出題されます。
その他、宅建業法、建築設備、不動産の税金に関する問題も出題されているので、初めて学習する人よりも時短合格を目指せます。このダブルライセンスは、賃貸管理の知識を強化し、社内昇進やキャリアアップ、転職にも有利に働きます。
宅地建物取引士(宅建士)
試験種類 | 年間平均受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
国家資格 | 約300,000人 | 約15〜17% |
不動産業界に勤めるのであれば、基本となる資格が「宅建」もしくは「宅建士」。略称で呼ばれることが多いのですが、正式名称は「宅地建物取引士」です。併せて試験の名称は「宅建試験(宅地建物取引士資格試験)」です。
不動産トラブルを防ぎ、取引をスムーズに進めるための国家資格であり、宅建士の業務内容をまとめると下記3つの独占業務が挙げられます。
- ・重要事項説明書面への記名と押印
- ・重要事項説明書面の内容の説明
- ・37条書面への記名と押印
いずれも重要な業務であり、この業務を宅建士以外が行うと大きな罰則を受けます。
メリット:
宅建資格は合格すると一生有効な資格です。(なお、宅建士の免許証は5年に1度の更新手続きが必要です。)そのため企業様の集合研修やキャリアアップ支援のため資格手当対象、人事制度対象など積極的に取り組む不動産会社が多いです。
この宅建士を足掛かりとして、ダブルライセンス・トリプルライセンスを目指してキャリアアップしょう。
ちなみに!宅建試験に合格しただけでは宅建士にはなれません。受験した都道府県に宅建士証の交付申請をしなければいけませんが、この際も実務経験が2年以上を必要条件となります。
「実務経験が無い、または2年未満の方が宅建試験を受験し、合格したとしても宅建士証の申請ができない!」という方は、登録実務講習を受講しましょう。
登録実務講習を受講し、合格することで必要条件を満たし、宅建士証の交付申請が可能となります。
余談ですが、宅建試験に合格後、10年以上も宅建士証の交付申請を行わなかったとしても問題ありません。宅建試験の合格と宅建士証の交付申請に有効期限がないのです。必要となったときに申請を行うか、実務経験2年以上が満たせていない場合はその時に登録実務講習を行ったあと申請しましょう。
マンション管理士
試験種類 | 年間平均受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
国家資格 | 約13,000人 | 約8〜12% |
マンション管理士は分譲マンション住人側の強い味方。業務範囲が多岐にわたり、専門知識を有したコンサルタント・アドバイザーとしての立ち位置が求められることから、難関の国家資格となります。
業務例は住民トラブルの解決から始まり、
- ・マンション管理規約の作成や更新業務のサポート
- ・マンション管理組合の運営・会計管理のサポート
- ・大規模修繕積立金の取り扱い、大規模修繕工事の依頼手続きのサポート
などが代表として挙げられます。
メリット:
マンション管理士として独立開業する場合もありますが、多くは不動産会社をはじめとした企業に在籍しつつも、委託を受けてマンション管理士として参加する形です。この場合、住人・オーナーと信頼関係を構築することができ、その後の不動産売買に繋がることがあります。売買をメインとした不動産会社の営業マンですと、ダブルライセンスの候補としておすすめです。
管理業務主任者
試験種類 | 年間平均受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
国家資格 | 約15,000人 | 約20% |
マンション管理士と間違われやすい「管理業務主任者」、どちらもマンション価値の維持・向上を目指して業務を遂行しますが、管理業務主任者の大きな違いは「マンションの管理側の立場に立っている」というところです。
管理会社に籍を置き、独占業務で住人と管理会社の橋渡しを行います。
橋渡しとなる業務は「管理委託契約の際、重要事項の説明や契約書に関わる業務」が代表的と言えます。
また、マンション管理会社は管理委託30契約ごとに1人の管理業務主任者の設置が義務付けられており、マンションの増加に伴い需要が大きい資格であるといえます。
メリット:
管理業務主任者の資格を活かす場合、マンション管理会社に就職するケースが多いです。こちらも設置義務があることから、絶えず需要があります。また、宅建士とのダブルライセンスで見てみると、管理業務主任者の資格取得で必要となるマンションの建物構造や設備に関する知識が大いに役立ちます。
賃貸不動産経営管理士
試験種類 | 年間平均受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
国家資格 | 約32,000人 | 約30% |
「親からアパートを相続で引き継いだが賃貸物件の管理ができない」といったケースや「大家が高齢になり管理できない」などの理由で、所有物件の管理を賃貸住宅管理会社へ委託するケースが増えています。
しかし、不動産トラブルも増えていく背景から、正しい知識・技能・倫理観を持った専門家が求められ、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」から本資格は2021年4月に国交省令で国家資格となりました。
同時に、管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者は、事務所または営業所毎に賃貸不動産経営管理士を1名以上設置することが義務付けられます。このことから、非常に需要が高い資格と言えます。
メリット:
宅建士と同じぐらい実用性が高いと言われている賃貸不動産経営管理士。不動産会社では物件管理をしている会社が多く、規模によっては先に述べたように複数人の設置も義務付けられているため、就職・転職に大変有利です。一部の大学や企業では、学生時から取得を推奨しているケースも見受けられ、注目度の高い資格と言えるでしょう。
<LECのおすすめ講座>不動産ジツム・ギョウカイ講座
不動産業界で活躍したい方に、スキルアップにおすすめの講座をご紹介します!
多くの顧客にとって人生最大の買物・投資である『不動産』。営業担当が顧客から信頼を得て、数千万円・数億円の投資を任されるには大企業の名刺やセールス術だけで足りるでしょうか?
- 【こんなお悩みを解決!】
- ●トーク・クロージングテクニックも重要だが、肝心な不動産関連知識も身に付けてほしい
- ●「小手先のセールス術でたまたま契約が取れた」ではなく「顧客に十分な説明をし、信頼を得て投資を任される」ことで、やりがいや将来の成長に繋げていってもらいたい
- ●OJTで時間かける余裕がないので、採用後すぐに業界知識をみにつけてもらい、早期戦力化に繋げたい
- ●不動産実務に関する知識・不動産業界に関する知識を学べる研修が必要と感じつつ、できていなかった
自身の扱う不動産という商品とそれを取り巻く不動産業界に関する知識を身に付けることは、顧客の信頼を得るだけではなく、やりがいや将来の成長にも大きくかかわってきます。
また、新入社員向け研修として、入社直後の思考が柔軟な時期に学習することで、より早期の戦力化も期待できます。
先ずはお問い合わせください!
LEC東京リーガルマインドは貴社の人材育成を成功させるため、集合研修・eラーニング研修・試験対策研修・ブレンディング研修まで、様々なプランをご用意しております。詳細資料のご請求やお見積りのご依頼は、お気軽に法人事業本部まで。
3.ダブルライセンスで広がる可能性!おすすめのダブルライセンス組合せ例と関連資格 6選
今後、業界内での信頼性獲得、そして競争力を高めるためには、金融知識やライフプランの提案スキルを磨くことが求められるでしょう。 ここでは宅建士と組み合わせることで相乗効果を生む、ダブルライセンスに最適な6種類の資格について、資格の概要と、不動産業界でどのように役立つのかまで解説していきます!
資格名 | 対応分野 | 資格概要 |
---|---|---|
FP(ファイ ナンシャル・ プランナー) |
売買 (仲介)、 金融 |
FPは、お金にまつわる知識をベースに顧客が望むライフプラン(生涯生活設計)のコンサルティングを行う総合アドバイザーです。 |
不動産相談員、 ADR調停人 |
不動産取引全般 | ADRは当事者間の自由な意志と努力に基づいて紛争の解決を目指します。不動産相談員は、宅地建物取引士が、不動産取引に起因する消費者問題の解決に取り組むための基礎的な素養を学ぶための研修です。 不動産相談員研修の修了認定された方は、次のステップとしてADR調停人候補者を目指すことができます。 |
不動産 鑑定士 |
開発・ 建築、 売買 (仲介) |
不動産鑑定士は、不動産の適正な価格を判断できる唯一の国家資格です。 |
土地家屋 調査士・ 測量士補 |
開発・ 建築 |
不動産登記の「表示に関する登記」を、お客様の代わりに申請する職業です。公共性が高いこの職業につけるのは国が定めた「土地家屋調査士」の資格をもつ者だけです。 |
民泊適正 管理主任者 |
管理、 その他 |
民泊に関する法令、条例等関連法規を理解し、民泊の企画運営、管理の専門的ノウハウをもって、民泊事業者(これから事業を営もうとする方も含む) 及び民泊施設提供者やその他民泊事業に関わる方の相談に応じることのできる専門資格です。 |
キャリア コンサルタント |
売買 (仲介)、 その他 |
キャリアコンサルティングという相談(面談)を通じて、相談者自身が「こうなりたい」「こうありたい」を自ら見い出し、好ましい「キャリア」を作り上げていくサポートをします。 |
実務に役立つおすすめの組み合わせ事例
宅地建物取引士 & ファイナンシャルプランナー(FP)
難易度 3級★/2級★★/1級★★★、宅建との関連度★★
特に不動産業務においては宅建士と相性がとても良い組み合わせです。不動産取引の専門知識と資金計画の専門知識を併せ持ち、不動産購入や売却に際しての財務相談も一手に提供可能です。不動産を活用した資産形成を考えているクライアントに対して、高度なサービスを提供できます。
宅地建物取引士(不動産相談員研修修了者) & 調停人
難易度★★、宅建との関連度★★
トラブル解決の専門性=「トラブルを起こさないという証明」
宅建士として不動産業界で成功するためには消費者から選ばれることが大切であり、「トラブルを起こさない」という証明は、大きな付加価値となります。
また、「士業」として社会的にも大きな役割を担うこととなった宅建士には、コンプラアンス遵守が求められます。トラブル相談や解決の専門知識を学ぶことは、自身のコンプライアンス意識をブラッシュアップすることにもつながります。
賃貸不動産経営管理士 & 民泊適正管理主任者
難易度★
民泊ビジネスに関わる方・これから民泊事業を始めたい方にオススメ。民泊管理ビジネス実施における必須条件「住宅宿泊管理業者登録」への道が拓けます。民泊管理を事業とする場合、「住宅宿泊管理業者」への登録が必要になります。
賃貸不動産経営管理士の取得はこの要件となっており、この資格と民泊適正管理主任者を取得することは、民泊事業遂行に直結します。
宅地建物取引士 & 不動産鑑定士
難易度★★★、宅建との関連度★★★
不動産の価値を正確に見極める専門家へと進化できる強力な組み合わせです。不動産鑑定士は不動産系資格の最高峰であり、評価や価値判断の専門家としての道が開けます。
宅建で学んだ法律知識は、不動産鑑定士試験で大きなアドバンテージとなり、短答式試験では37個の法律のうち24個(約65%)が宅建で学んだ内容です。
このため、効率的に学習を進め、最重要科目である「鑑定理論」の学習に時間を充てられます。ダブルライセンス取得後は、独立して鑑定事務所を設立し、自由な働き方も実現可能です。
宅地建物取引士 & 土地家屋調査士・測量士補
難易度★★、宅建との関連度★★★
土地家屋調査士・測量士補として、土地境界の問題解決や不動産登記に関する専門知識を提供できます。土地家屋調査士試験では、択一20問と記述2問が出題され、宅建で学んだ民法、不動産登記法、借地借家法、建物区分所有法などの知識が役立ちます。
また、区分建物や敷地権に関する理解には建物区分所有法が不可欠なため、他の受験生より有利に学習を進められます。
ダブルライセンス取得後は、土地境界問題や不動産登記に関わる仕事に深く関与でき、土地境界の専門家として独立開業し、自分の事務所を構えて自由な働き方を実現することが可能です。
土地家屋調査士 & 司法書士や行政書士
難易度★★★
土地家屋調査士は様々な資格と関連性を持っています。実際には顧客からのニーズと自分の方向性からプラスする資格を選択している実務家が多いようです。
例えば司法書士 は同じ不動産登記(権利の登記)を手掛ける関係上、土地家屋調査士の仕事が一緒に発生することも多く、両方の資格を取得していれば顧客に手間をかけることなく、自分ひとりで応じられます。
また、重複する試験科目があれば受験上大きなメリットとなります。
FP(ファイナンシャルプランナー)
試験種類 | 試験区分 | 年間平均受験者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
国家資格 | 3級 学科 |
約110,000人 | 80%以上 |
3級 実技 |
約108,000人 | 70〜90% | |
2級 学科 |
約78,000人 | 40〜50% | |
2級 実技 |
約67,000人 | 50〜70% |
FPの略称でも有名な「ファイナンシャル・プランナー」はお金にまつわる知識をベースに顧客が望むライフプラン(生涯生活設計)を 実現させるためにコンサルティングを行う、ライフプランの総合アドバイザーです。
2級FP技能士の受検資格は、3級試験に合格(学科と実技の両方)しているか、あるいは2年以上のFPに関する実務経験(金融機関勤務やFP開業など)またはFP協会の認定研修修了者となっています。検定試験は金財とFP協会の両方で実施しており、AFPの資格審査試験を兼ねています。
メリット:
FPの略称でも有名な「ファイナンシャル・プランナー」は、顧客にライフプラン(生涯生活設計)を提案し、実現させるためにコンサルティングを行う事を主とします。
特に不動産業務においては宅建士と相性がとても良いです。
不動産売買において、一生に一度の買い物である家の購入は誰しも不安になるもの。そこでFP資格者として資金面のプランニングやローンのアドバイスを行う事は、顧客の安心と信頼を得られます。
FPは3級から始まり、いくつかの種類があります。業務として認められるのであれば2級を目指しましょう。
不動産相談員、ADR調停人
試験種類 | 年間平均受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
認定講座 | 非公開 | 非公開 |
不動産相談員研修とは
宅地建物取引士が、不動産取引に起因する消費者問題の解決に取り組むための基礎的な素養を学ぶための研修です。
様々な不動産トラブルに接する機会の多い宅地建物取引士が、当事者に寄り添って紛争解決の支援をしていくためのスキルを身に着けることは、 その社会的使命の実現の中で、非常に重要な意味を持ちます。
不動産相談員研修の修了認定された方は、次のステップとしてADR調停人候補者を目指すことができます。
「ADR調停人候補者」とは
ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、裁判手続きによらずに紛争を解決する手法を指します。
通常、裁判はある当事者間の紛争について裁判所が判断を示し、最終的な解決を与えます。
それに対して、ADRは当事者間の自由な意志と努力に基づいて紛争の解決を目指します。
メリット:
- 不動産会社、建築関連会社として「トラブル解決の専門性」をPRすることで、他社との差別化をすることができます。
- 日々の業務の過程で顧客や関係者が直面している不動産取引に関するトラブルについて、その解決策としてADRを紹介、提案することができます。(不動産相談員)
- 調停人の報酬は「報酬規程」により定められており、また和解が成立した場合には「和解成立に係る報酬」として規程の金額を 受け取ることができます。(ADR調停人)
不動産鑑定士
試験種類 | 試験区分 | 年間平均受験者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
国家資格 | 短答 | 約1,700人 | 約35% |
論文 | 約800人 | 約17% |
全国にわずか約8,000人しかいない希少資格である不動産鑑定士。
その名称から「土地や建物を鑑定して、価格や価値を見定める人」とイメージする人も多いと思います。
最終的には「不動産鑑定評価書の作成」を行い、価値を決めることを生業としています。
ですが、価値を決めるまでのアプローチが大変多岐に渡り、多くの専門知識を必要とします。
メリット:
建物・土地の現地調査(周辺地域の状況分析・将来の動向予測も含む)や役所・法務局を巡って各種権利の確認等、まさに多方面から鑑定を行います。その他、不動産鑑定士はコンサルタントの一面も大きいため、不動産業界において最強の資格と言えるでしょう。
土地家屋調査士・測量士補
試験種類 | 年間平均受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
国家資格 | 約4,000人 | 約10% |
土地調査のプロである「土地家屋調査士」、こちらも不動産鑑定士に負けず劣らず、難しい難関資格です。
同じように土地の測量・調査を行っている「測量士」と何が違うのでしょうか?それは「土地家屋調査士だと登記を行うことが可能」という部分が最大の違いです。
日本では「実際の測量面積と公簿面積の差異」や「土地の境界・筆界が明確ではない状況」が多く見受けられます。当然、土地家屋を売買する際には明確にする必要がありますが、一般の人ではすべてを行い登記申請を完了させるのは至難の業です。そこで土地家屋調査士は「土地の境界と用途を確認し、土地面積の登記を代理で行う事が可能な資格」なのです。
以上のことから実需は非常に高く、難関でありながらもチャレンジするに値する資格と言えます。
メリット:
上記の説明にもありますが「不動産の表示に関する登記の代理」が土地家屋調査士の独占業務です。そのため需要は安定しており、稼げる資格と言えます。ダブルライセンスに関して言えば、宅建士よりは行政書士がおすすめです。 同じ申請関連を生業としており、二つの資格で業務を補える形になります。
民泊適正管理主任者
試験種類 | 年間平均受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
認定講座 | 非公開 | 非公開 |
民泊適正管理主任者とは、民泊に関する法令、条例等関連法規を理解すると共に、民泊の企画運営、管理の専門的ノウハウをもって、民泊事業者(これから事業を営もうとする方も含む)及び民泊施設提供者やその他民泊事業に関わる方の相談に応じることのできる専門資格です。 この資格の所有者は、民泊に関する助言、指導、その他の援助を通じて民泊事業を円滑かつ適正に運営するために必要な知識を有する専門家として一般社団法人日本民泊適正推進機構が認証した存在です。
メリット:
- 民泊ビジネスのポイントを知ることで、このビジネスに参入することができます。
- 自社が行う民泊ビジネスの内容やオーナーに提案するポイントが分かります。
- 法的に適正な方法で、民泊ビジネスを実施することができます。
- 民泊としての物件活用を考えている不動産オーナーから信頼を得られます。
- 適正な民泊サービスを提供する事業者として、宿泊客に安心を与えられます。
キャリアコンサルタント
試験種類 | 試験区分 | 年間平均受験者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
国家資格 | 学科 | 約10,000人 | 約65% |
実技 | 約15,000人 |
「キャリア」とは、個人が生涯にわたって“自己実現する過程“といえます。就職や転職などの職業選択にとどまらず、スキルアップ、学びなおし(リスキリング)、自身の働き方や生き方の見直し(キャリアデザイン)も含めた広い意味で捉えられています。 キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングという相談(面談)を通じて、相談者自身が「こうなりたい」「こうありたい」を自ら見い出し、好ましい「キャリア」を作り上げていくサポートをします。「働く」を中心に、「学ぶ」「自分らしく生きる」を含めた人生全般(ライフキャリア)を一緒に考える役割を担います。
メリット:
- どこでも通用するコミュニケーション・傾聴スキルが身につくので、営業や顧客対応でも役立ちます。
- 部下との1on1マネジメントに最適です。
- 自分のキャリアを設計するために役立ちます。
- 幅広い業種を含む不動産業界において専門的な転職の相談に乗れます。
4.まとめ
以上、宅建士を含めた不動産業界の主要資格や実務に役立つダブルライセンスまで「不動産業界で役立つ資格10選」をご紹介しました。 まずは宅建やFPの資格を取得し、次に「不動産資格四冠」などの上級資格にも挑戦してみてはいかがでしょうか。さらにステップアップを目指す方は、不動産鑑定士や土地家屋調査士 などの高度な資格にも挑戦することで、あなたの専門性と市場価値は一層高められるでしょう。その実力を活かして、業界をさらに盛り上げていってくれることを心から期待しています。
こちらもおすすめ【コラム記事】
監修者情報
反町 雄彦 そりまち かつひこ
株式会社東京リーガルマインド 代表取締役社長/弁護士
1976年 | 東京都生まれ | |
---|---|---|
1998年 | 11月 | 東京大学法学部在学中に司法試験合格。 |
1999年 | 3月 | 東京大学法学部卒業。 |
4月 | 株式会社東京リーガルマインド入社、以後5年間、司法試験対策講座の講義を行い、初学者向けの入門講座から中上級向けの講座まで幅広く担当し、多くの短期合格者を輩出した。 |
|
2004年 | 3月 | 司法研修所入所。 |
2005年 | 10月 | 弁護士登録(東京弁護士会所属)。 |
2006年 | 6月 | 株式会社東京リーガルマインド取締役。 |
2008年 | LEC司法試験対策講座統括プロデューサーを務め、以後、現在に至るまで資格試験全般についてクオリティの高い教材開発に取り組んでいるほか、キャリアデザインの観点から、多くの講演会を実施している。 |
|
2009年 | 2月 | 同専務取締役。 |
2011年 | 5月 | 同取締役。 |
2014年 | 4月 | 同代表取締役社長。 |
2019年 | 4月 | LEC会計大学院学長 |
2023年 | 東京商工会議所中野支部・情報分科会長に就任 | |
2024年 | 一般社団法人ラーニングイノベーションコンソシアムの理事に就任 |
先ずはお問い合わせください!
LEC東京リーガルマインドは貴社の人材育成を成功させるため、集合研修・eラーニング研修・試験対策研修・ブレンディング研修まで、様々なプランをご用意しております。詳細資料のご請求やお見積りのご依頼は、お気軽に法人事業本部まで。