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アンガーマネジメントとは?怒りを抑える6秒ルール・3つのコントロール・実践方法をわかりやすく解説
パワーハラスメント防止が企業の責務となり、多様な価値観を持つ人材が共に働く時代において、職場の「怒り」とどのように向き合うかは組織運営の重要なテーマとなっています。管理職の感情的な指導や職場内のコミュニケーション不足は、ハラスメントリスクやメンタルヘルス不調、生産性の低下につながることも少なくありません。そこで注目されているのが「アンガーマネジメント」です。本コラムでは、アンガーマネジメントの基本的な考え方や企業に導入する意義、組織開発や人材育成の視点から期待できる効果、職場で実践できるポイントについて分かりやすく解説します。
こんな方におすすめ!
- パワーハラスメントの防止に不安を感じている管理職・経営者の方
- 部下への指導方法に悩み、感情的になってしまうことがある方
- 職場の雰囲気やコミュニケーションを改善したい人事・労務担当者の方
- 心理的安全性の高い、働きやすい職場づくりを目指す方
- 怒りの感情をうまくコントロールできず、後悔することがある方
- ハラスメント研修や管理者研修の導入を検討している企業の方
- 職場全体で感情マネジメントの意識を高めたい研修担当者の方
感情的な指導で後悔していませんか?
- 怒りの衝動を抑えたい
- 部下への指導法に迷う
- パワハラのリスク不安
- 職場の雰囲気を変えたい
- 冷静な判断力を保ちたい
本コラムは、アンガーマネジメントとは?6秒ルールや3つのコントロール、実践法を解説。パワハラ防止や生産性向上に役立つ感情管理を学び、円滑な職場を築く秘訣を紹介。管理職や人事担当者必読のガイドです。
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1.アンガーマネジメントとは
アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。1970年代にアメリカで生まれ、現在では企業や教育機関、医療・福祉など幅広い分野で活用されています。近年では、多様性(ダイバーシティ)の推進や働き方の変化により、異なる価値観を持つ人と協働する機会が増えています。そのため、パワーハラスメント防止や心理的安全性の向上、人材育成・組織開発の取り組みの一つとして、アンガーマネジメントへの関心が高まっています。
アンガーマネジメントの定義
私が所属している一般社団法人日本アンガーマネジメント協会では、アンガーマネジメントを「怒りで後悔しないこと」と定義しています。アンガーマネジメントは怒らないことや怒りを我慢することではなく、「怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らないようになること」を目指す心理トレーニングです。職場で一人ひとりが怒りと適切に向き合えるようになることは、多様な価値観を持つ人と円滑に協働し、より良い職場環境づくりにつながります。
そもそも「怒り」とは何か
「怒り」は、人にとって自然な感情の一つです。誰もが感じる感情であり、なくすことはできません。怒りは、自分や大切な人、物、価値観などを守るために生じる「身を守るための感情(防衛感情)」であり、自分自身を守る機能や役割を持っています。
人はなぜ怒るのか
私たちを怒らせるのは、出来事そのものではありません。「○○するべき」「普通は」「当たり前」といった自分の価値観(べき)が満たされなかったり、裏切られたと感じたりしたときに怒りが生まれます。価値観は人それぞれ異なるため、同じ出来事でも怒る人もいれば、怒らない人もいます。自分とは異なる考え方や価値観に触れる機会が増えている現代では、怒りを感じる場面も少なくありません。だからこそ、怒りを適切にマネジメントするためには、まず怒りが生まれる仕組みを理解することが大切なのです。
怒りが生まれるメカニズム
私たちは、出来事が起きたときに、瞬時に自分の価値観(べき)と照らし合わせて判断しています。そして、その価値観が満たされなかったり、裏切られたと感じたりすると、心の中で怒りのスイッチが入り、怒りの感情が生まれるのです。では、同じように「べき」が裏切られても、非常に怒るときと、あまり気にならないときがあるのはなぜでしょうか。
その違いを生むのが、その時の自分自身の状態です。辛い、悲しい、不安などのマイナスの感情を抱えているときや、睡眠不足や疲労がたまっているときは、怒りが大きくなりやすくなります。だからこそ、怒りを適切にマネジメントするためには、自分がどのような状態のときに怒りが大きくなりやすいのかを知ることも大切なのです。
問題となる4つの怒り
怒りそのものは自然な感情であり、悪いものではありません。しかし、怒りの表れ方によっては、自分自身や周囲との関係に悪影響を及ぼすことがあります。アンガーマネジメントでは、問題となる怒りとして、次の4つを挙げています。これらのうち、一つでも当てはまる場合は、怒りとの向き合い方を見直すサインです。
- 強度が高い――怒りの度合いが激しい
- 持続性がある――怒りが長く続く
- 頻度が高い――怒りを感じる回数が多い
- 攻撃性がある――自分・他者・物への攻撃につながる
怒りの感情を適切に扱うためには、まずは自分自身の怒りの傾向を知ることが第一歩です。では、自分の怒りを客観的に把握する方法として、「アンガーログ」をご紹介します。
怒りの傾向を把握する「アンガーログ」
アンガーログとは、自分が怒りを感じた出来事を記録し、怒りの傾向を客観的に把握するための方法です。日付、場所、出来事、怒りの強さを記録することで、自分がどのような場面で怒りやすいのか、その傾向が見えてきます。
私は、加えて時間帯も記録することをおすすめしています。例えば、朝の忙しい時間帯や仕事が立て込む午後、疲れが出やすい夕方など、怒りを感じやすい時間帯が見えてくることがあります。自分の傾向を知ることで、怒りへの対処や予防につなげることができるでしょう。
2.アンガーマネジメントの3つのコントロール
アンガーマネジメントでは、「衝動」「思考」「行動」の3つをコントロールすることを目指します。この3つを意識して実践することで、怒りで後悔しない選択ができるようになります。
衝動のコントロール(6秒ルール)
アンガーマネジメントというと、「6秒ルール」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。アンガーマネジメントのコントロール法で、まず大切なのが「衝動のコントロール」です。
例えば、「売り言葉に買い言葉」のように、イラッとした瞬間に反射的に言葉を返したり、行動したりしてしまうと、「あんなことを言わなければよかった」「あのような態度を取らなければよかった」と後悔につながることがあります。
諸説ありますが、怒りを感じたら、まずは6秒やり過ごすことが大切だとされています。6秒ほど待つことで、感情だけで反応するのではなく、理性が働き、冷静に判断しやすくなると考えられています。
なお、「6秒待てば怒りが消える」というわけではありません。6秒の目的は怒りをなくすことではなく、衝動的な言動を防ぎ、怒りの感情と上手に付き合うための時間をつくることです。まずは反射的に反応しないことが、怒りで後悔しないための第一歩となります。
STEP1反射的に反応しない
イラッとした瞬間の衝動を一度止める
STEP26秒やり過ごす
その場で間をつくり、理性を働かせる
STEP3後悔しない選択へ
衝動ではなく冷静な判断で動く
「コミュニケーションスキルを学ぶ」で伝え方の土台を身につける
衝動的な言動を防いだあとに大切なのは、伝えたいことを適切に言葉にする力です。
基本的なコミュニケーションスキルを学び、日々の対話に活かしましょう。
思考のコントロール
思考のコントロールでは、自分にとって大切な「べき(価値観)」を、三重丸を使って整理していきます。アンガーマネジメントとは、「怒る必要のあることは上手に怒ることができ、怒る必要のないことは怒らないようになること」です。そのため、自分にとって何が「怒る必要のあること」で、何が「怒る必要のないこと」なのか、その境界線を明確にしていくことが大切です。また、「許せる」「まあ許せる」の範囲を広げ、受容度を高めることで、必要以上に怒る場面を減らすことにもつながります。
行動のコントロール
行動のコントロールでは、「できること・できないこと」と「重要なこと・重要でないこと」をマトリクスを使って整理していきます。怒る必要があると判断した場合でも、自分ではできないことや重要ではないことにエネルギーを費やしても、状況は変わりません。一方で、自分ができることや、自分にとって本当に重要なことに目を向けることで、次に取るべき行動が明確になります。感情に流されるのではなく、状況に応じて建設的な行動を選択することが、怒りに振り回されないための大切な考え方です。
「衝動」「思考」「行動」の3つをコントロールする
3.今すぐできるアンガーマネジメントの実践方法・テクニック
アンガーマネジメントは、「怒りで後悔しないこと」を目指す心理トレーニングです。そのために、まず取り組みたいのが「衝動のコントロール」です。怒りを感じた瞬間に反射的な言動を避けることで、冷静な判断や適切な行動につながります。ここでは、今日から実践できる代表的なテクニックをご紹介します。
テクニック① 6秒待つ・深呼吸
怒りを感じたら、まずは6秒やり過ごすことを意識してみましょう。その間に、ゆっくりと深呼吸をすることで、高ぶった気持ちを落ち着かせやすくなります。大切なのは、6秒で怒りをなくすことではなく、感情に任せて反応しないことです。まずは一度立ち止まり、理性を働かせる時間をつくることが、怒りに振り回されない第一歩となります。
テクニック② イライラ・怒りの温度(点数)をはかる(怒りの数値化)
怒りを感じたときは、「今の怒りは0〜10点で表すと何点だろう」と考えてみましょう。怒りの強さを数値化することで、怒りそのものから数値へと意識が移り、衝動をコントロールしやすくなります。6秒ルールと組み合わせることで、反射的な言動を防ぐことにもつながります。また、アンガーログを記録する際にも、怒りの強さを数値で残しておくことで、自分の怒りの傾向を振り返りやすくなります。
テクニック③ コーピングマントラ・タイムアウト
コーピングマントラとは、自分を落ち着かせるための言葉を心の中で唱える方法です。「大丈夫」「落ち着こう」「なんとかなる」など、自分が安心できる言葉を繰り返すことで、怒りの感情を和らげ、冷静さを取り戻しやすくなります。
タイムアウトとは、怒りが強いときに、その場を一時的に離れて気持ちを落ち着かせる方法です。無理に話し合いを続けるのではなく、「少し時間をください」と伝え、気持ちを整理してから再び向き合うことで、感情的な言動を防ぎ、冷静な話し合いにつながります。
4.アンガーマネジメント診断(自分の怒りのタイプを知る)
アンガーマネジメント診断は、自分自身を知る(自己理解を深める)ためのツールです。怒りの強さや性格の良し悪しを評価するものではなく、怒りを感じやすい場面や価値観、怒りの表現方法など、自分の怒りの傾向を客観的に理解することを目的としています。診断結果は、あくまでも診断を受けた時点での状態を表したものであり、トレーニングや経験、その時の心身の状態によって変化することがあります。自分自身の特徴を知ることで、自分に合ったアンガーマネジメントの実践方法を見つけやすくなり、職場での円滑なコミュニケーションやより良い人間関係づくりにも役立ちます。
5.アンガーマネジメントを身につけるメリット
アンガーマネジメントを身に付けることで、感情に振り回されず冷静に対応できるようになります。円滑なコミュニケーションや信頼関係の構築につながり、働きやすい職場づくりや職場定着、生産性の向上にも役立ちます。
メリット① パワハラ・ハラスメント防止
パワーハラスメントは、怒りそのものではなく、怒りに任せた不適切な言動から生じることがあります。アンガーマネジメントを身に付けることで、自分の怒りの感情や価値観を理解し、衝動的な言動を防ぎながら適切な伝え方を選べるようになります。その結果、パワーハラスメントをはじめとするハラスメントの予防につながり、安心して働ける職場づくりにも役立ちます。
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メリット② 生産性・意思決定の質向上
怒りに振り回されると、感情的な判断や対応をしてしまい、本来の業務に集中できなくなることがあります。アンガーマネジメントを身に付けることで、冷静に状況を整理し、適切な意思決定ができるようになります。その結果、業務効率や生産性の向上、より質の高い意思決定につながります。
メリット③ 人間関係・チームワーク改善
アンガーマネジメントを身に付けることで、自分の感情や価値観だけでなく、相手との価値観の違いも受け止められるようになります。感情的な対立やすれ違いが減り、相手を尊重したコミュニケーションが取りやすくなるため、信頼関係の構築やチームワークの向上につながります。
メリット④ メンタルヘルスの維持
怒りをため込み続けたり、感情に振り回されたりすると、ストレスが蓄積し、心身に負担を与えることがあります。アンガーマネジメントを身に付けることで、自分の感情と上手に付き合い、ストレスを適切にコントロールできるようになります。その結果、メンタルヘルスの維持・向上にもつながります。
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6.管理職・企業がアンガーマネジメントを導入するポイント
管理職は、部下の育成や組織づくりに大きな影響を与える立場です。近年では、「パワーハラスメントと言われることが怖くて、部下を指導できない」という声も少なくありません。しかし、アンガーマネジメントは「怒らないこと」を目指すものではなく、「怒る必要のあることは上手に怒ることができ、怒る必要のないことは怒らない」ことを目指す心理トレーニングです。組織として大切にすべき価値観を共有し、管理職が適切な感情コントロールと伝え方を身に付けることで、必要な指導とハラスメント防止の両立につながります。
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7.まとめ:生産性と心理的安全性を高めるアンガーマネジメントの重要性
怒りは誰にでもある自然な感情であり、なくすものではありません。大切なのは、怒りに振り回されるのではなく、感情と上手に付き合い、適切に表現することです。アンガーマネジメントを身に付けることで、パワーハラスメントをはじめとするハラスメントの予防や、コミュニケーションの改善、生産性の向上、心理的安全性の高い職場づくりにつながります。
個人のスキルとしてだけでなく、組織全体で取り組むことで、誰もが安心して能力を発揮できる職場づくりにつながります。
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引用
「怒る必要のあることは上手に怒ることができ、怒る必要のないことは怒らないようになること」
出典:一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 アンガーマネジメント研修実践講座より
参照
・一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 公式サイト
・一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 講座テキスト・教材
監修者情報
水越 聡子(みずこし さとこ)

| 研修分野 | コミュニケーション研修、キャリアコンサルタント資格関連研修 |
|---|---|
| 役職・保有資格 | 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 認定アンガーマネジメントコンサルタント 国家資格 キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士 |
| 講師領域 | アンガーマネジメント研修・コミュニケーション研修・ハラスメント研修・ホスピタリティ・接遇研修・クレーム対応(カスハラ含む)研修・キャリア研修など |
| 担当研修 | |
| プロフィール |
プロフィールを表示する大学卒業後、機械メーカーにて事務職として勤務。その後、日系、外資系航空会社の国際線客室乗務員として16年間従事。常にCS(顧客満足)を考えたおもてなしを提供。退職後、専門学校の接客マナー・ホスピタリティ論を担当し講師としてスタート。 個人の感情の扱い方から、管理職による部下支援、職場全体の心理的安全性までを一連の流れとして捉え、「一人ひとりが無理なく実践できる関わり方」を伝えることを大切にしている。 研修では、正解を押しつけるのではなく、事例検討やディスカッション、ロールプレイを通して、参加者自身が「自分ならどうするか」を考える時間を重視し、 感情・言葉・行動のつながりに気づき、明日からの関わり方が少し楽になることを目指し研修を実施。 【登壇実績】 通信インフラ・飲食・美容・クリニック(医療)・ホテル・薬業・ゴルフ場・テーマパーク・薬局・自動車小売・物流・運送・大型ショッピングモール運営企業・教育委員会・地方自治体・小中高等学校・大学校・各種団体・労働局主催求職支援事業・男女参画センター女性就労支援 他 |
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