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プレイングマネージャーとは|役割・課題とAI時代の解決策

プレイングマネージャーとは|役割・課題とAI時代の解決策

近年、多くの企業で「プレイングマネージャー」という働き方が一般化しています。プレイヤーとして自ら担当業務を持ちながら、同時に部下育成や組織運営を担うこの役割は、現場の即応性を高める一方、業務量の増加や過重労働のリスクを伴います。
本コラムでは、プレイングマネージャーの役割、難しさの構造、必要なスキル、そして限界を防ぐための実践的な解決策を整理し、現場で機能するプレイングマネージャーのあり方を考察します。

こんな方におすすめ!

  • プレイヤーとマネジメントの役割を兼務されているプレイングマネージャーの方
  • マネジメント業務の質を上げたいと考えている方
  • プレイングマネージャーの指導をされる立場の方

兼務による業務過多や部下育成にお悩みではありませんか?

  • 兼務の役割分担に悩んでいる
  • 部下育成と目標達成を両立したい
  • 自身の業務過多を解消したい
  • 労務管理の注意点を把握したい
  • AI活用で現場の負荷を減らしたい

本コラムでは、プレイングマネージャーやその指導者へ、役割の再定義やスキル、AI活用による負荷軽減策を解説します。成果と育成を両立し、現場の負荷を最小化するための指針を提示します。

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1. プレイングマネージャーとは|主な仕事と注目される背景

プレイングマネージャーとは、自らの担当業務(プレイヤー)と、部下育成・組織運営(マネジメント)の双方を担う役割です。人手不足、業務の専門化、環境変化の高速化により、現場で迅速な判断ができる「プレイヤー兼務型マネージャー」が求められるようになったことが背景にあります。

プレイングマネージャーの主な仕事内容

多くの方は、プレイヤー時代を経て、プレイングマネージャーになると思いますので、プレイヤーの仕事は従前通りで大きくは変わらず、新たに加わる仕事は、マネジメントの仕事になります。よくマネジメントの仕事は、部下育成や組織運営などと言われますが、組織によって、あるいはポジションによって、求められるマネジメントの仕事の範囲は異なるでしょう。しかし、基本的にはミドルマネジメントの責任領域は大きく以下の2つです。

  1. ① 仕事=業績の達成(短期的視点)
  2. ② 人・組織の効果性の向上(中長期的視点)
ミドルマネジメントの責任領域

① 仕事=業績の達成(短期視点)

  • チーム全体の業績
  • 自身の担当業務の業績

プレイングマネージャーは「チーム全体としての業績」と「自身の業績」の両方を担うため、責任が二重構造になります。

例:チーム売上100のうち、自身の担当が30とすると、チームが100達成しても、自身が30を達成できなければ責任を果たしたとは言えません。

業績達成の二重構造

② 人・組織の効果性の向上(中長期)

  • メンバー個々人の潜在能力を引き出す
  • メンバーの相互作用、シナジー効果を引き出す
  • 業務プロセスの改善

部下育成は「得意な仕事を任せる」だけではなく、未経験領域に挑戦させることで成長機会をつくることが本質ですので、業績を効率的に上げるための「適材適所」と、育成のための「挑戦」は二律背反になります。

短期と中長期の二律背反
  • 今期の業績を達成したい(短期的視点)
  • 来期以降も業績を上げられるように組織力を高めたい(中長期的視点)

この両立こそがマネジメントの難しさであり、プレイングマネージャーにはさらに「自分」と「組織」という二律背反も加わることになります。

短期と中長期、自分と組織の二律背反

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プレイヤーとマネージャーを兼務することの難しさ

マネジメントは本来、専任でも難しい仕事です。プレイングマネージャーはそこに「自分の担当業務の業績責任」が加わるため、難易度が一段上がります。つまり、

二律背反が三重構造になる

  • 短期(今期の業績達成) vs 長期(未来の組織力)
  • 効率 vs 質
  • 個人の業績 vs 組織(チーム全体)の業績
二律背反が三重構造になる

特に「自分個人の業績 vs 組織の業績」はプレイングマネージャー特有のジレンマです。

  1. ①自分が業績を上げすぎるとメンバーやチームが育たず、組織の中長期的な力が弱まる結果になります。
  2. ②逆にメンバーに任せすぎると、短期業績に懸念が生じます。

どちらかというと前者①のプレイングマネージャーがスーパープレイヤーになってしまうケースが多いようです。理由は、プレイヤーとしてメンバーに負けられないという想いから、競争してしまうからです。

後者②のメンバーに任せすぎると短期業績に懸念が生じるのは確かです。しかし、だからこそどのような支援が必要か、その支援をどのようにすべきかなど、マネジメントとしての腕の見せ所となるわけです。

また、①の状況はメンバーの成長機会を奪っているとも言えますし、それと同様に短期業績を効率的に上げるために適材適所の配置ばかりをしていると、未経験者に経験を積み重ねる機会(成長の機会)を与えることができません。つまり、適材適所と育成は二律背反になりますし、尚且つ、②の場面は育成の機会になりますが、必ず他者の支援も要することになります。

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【補足】プレイングマネージャーが増えている背景|人手不足と2026年の労働環境

高度成長期、安定成長期では、前年踏襲型の経営…上意下達型で成長することができました。
しかし、1990年代のバブル崩壊以降、それが困難になり、トップダウンだけでは対応できず、現場の判断が重要になり中間管理職による「ミドルアップダウン」が求められるようになりました。

しかし一方で、

  • 人手不足が常態化し、専任管理者を十分に配置できなくなったこと
  • 業務の専門化・複雑化により、現場の知見を持つ人材が管理職を兼務する必要が生じたこと

などから、中間管理職のプレイングマネージャーが進みました。現在では中間管理職の約90%がプレイングマネージャーと言われています。

現在、兼務の負荷軽減策のひとつとして、DX・ITツールに期待が集まっていますが、ITスキル不足が却って負荷増大につながるケースも多く、まだまだプレイングマネージャーがうまく機能できない状況が続いています。

2. プレイングマネージャーの役割とそれを遂行するために要するスキル

プレイングマネージャーがその重責を果たすためには、まず自身の役割を再定義し、それを支える多角的なスキルを磨く必要があります。プレイヤーとしての「個人の成果」と、マネージャーとしての「組織の成果」という性質の異なる二つのミッションをどう統合すべきか、具体的な役割の内訳と、現場で求められる実践的なスキルセットについて詳しく解説します。

プレイングマネージャーの役割

プレイングマネージャーの役割は以下の2点でした。

① 業績の達成(短期)
  • チーム全体の業績
  • 自身の担当業務の業績
② 人・組織の効果性の向上(中長期)
  • メンバーの潜在能力を引き出す(自分自身も含めて)
  • 組織力を高める
  • 業務プロセスを改善する

①も②も、チーム全体を主として捉え、自身もチーム・リソースの一部として客観視する必要があります。

プレイングマネージャーの役割遂行に要するスキル

プレイングマネージャーの役割は①「業績の達成」と「人・組織の効果性の向上」の両立です。これを遂行するには、傾聴スキル、観察力、コーチングスキル、ロジカルシンキング、課題発見力など様々なスキルを要しますが、断片的なスキルが提示されても混乱しますので、スキル(能力)をカッツモデルで指摘される、①テクニカルスキル、②ヒューマンスキル、③コンセプチュアルスキルの3領域で捉えるとよい思います。またスキルとは言えませんが、④意志も不可欠です。

プレイングマネージャーの役割遂行に要するスキル
① テクニカルスキル
  • 自身の担当業務の深い理解
  • メンバーの業務の目的・概要・問題点の把握
※ 緊急時以外は、自分がプレイヤーにならない判断力
② ヒューマンスキル
  • コミュニケーション
  • リーダーシップ
  • 自己認識・セルフマネジメント
※ 自分中心の視点から、チーム中心の視点へ切り替える力
③ コンセプチュアルスキル
  • 論理的思考力
  • 課題発見力
  • 概念形成力(アイデア創出)
※ メンバーや上司、また関連他部署が納得できる解決策を提示できる力
④ 意志(主体性)
※ スキルは当事者の主体的な目的に基づく行動の過程で身につくもの

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3. プレイングマネージャーの課題・リスクと法的注意点

プレイングマネージャーは、業務過多、過重労働のリスクが高い職務です。従って、労働基準法上の注意点も多く、働き方改革の流れとあいまって、法令遵守にも注意しつつ、特に新任のプレイングマネージャーには、適切な支援が不可欠です。

労働基準法上の注意点

プレイングマネージャーは「管理監督者」と誤解されやすい職務ですが、労働基準法上の管理監督者に該当しないケースが多々あります。
管理監督者に該当しない場合は、

  1. 時間外労働の上限規制が適用される
  2. 労働時間管理が必要
  3. 36協定の範囲内での残業管理が必須
  4. 深夜労働の割増賃金が必要

などの注意が必要です。
本人以上に、プレイングマネージャーを指導する立場にある方は、これらを十分に認識し、本人の状況、業務状況を充分に理解し、適切な指導を心がける必要があります。
真面目な人ほど、業務を抱え込み、気づかずに過重労働に陥りやすいものです。また、その限界に本人自身が気づかない場合も多く、指導的立場の方が客観的に観て、適切な支援ができるようにしておくことが不可欠です。

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限界を防ぐ解決策|権限委譲とAI活用による負荷軽減

プレイングマネージャーがうまく機能できるようにするためには、現時点では以下の2点について適切に遂行できるように検討しておくことが重要です。

①権限委譲(デリゲーション)
  • 主担当をメンバーに設定
  • 懸念点を事前に共有
  • 問題発生時のフォロー体制を準備
  • 自分が抱え込まない仕組みをつくる
②AI・DX活用
  • 自動化ツールの活用
  • 業務効率化
  • 情報技術の活用は「余裕を生む投資」
  • 自部署に余裕がない場合は他部署と連携してDXを進める

これまで述べましたように、チーム業務や課題解決を何でもかんでも自分で抱え込まないことです。そもそもプレイングマネージャーに、チーム業務全般のプレイングが期待されているわけではありません。チーム業務の役割分担の段階で、可能な限り各業務の主担当をチームメンバーにすることです。その際、各メンバーに任せることによる懸念点も明確にしておくとよいでしょう。実際に懸念されたことが起きた場合、他のメンバーや自分がフォローするなど、対応方法を事前に考えておくことができます。そうは言っても、やはり自らが抱え込まざるを得ない業務もあると思います。しかし、それらの業務もいずれは他のメンバーに委譲することを想定して、業務にあたる必要があります。

間違っても業務を抱えすぎて、マネジメントの余裕がないという本末転倒な状態は避けるようにしてください。この状態に陥ると、なかなか抜け出しにくくなるからです。

また、昨今の情報技術の進展はめざましく、AIもほんの数年で実用化に至っています。このような便利なツールを有効活用することも、マネジメントの重要な役割になっています。しかし、繰り返しですが多くの業務を抱えている状態であれば、次々にリリースされる新たなツールを試す余裕すらないのではないでしょうか。様々な職場で人手不足が常態化している今日、打開策として期待される情報技術の活用を、まだ試されたことがないならば、すぐに試すことが将来の余裕を生み出します。もしそれをするのに自分自身や自身のチームに余裕がないならば、組織内の他部署にも働きかけAI活用、DX化の促進に関わっていくことは、自身や自組織にとっても有益なことでしょう。

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4. まとめ|プレイングマネージャーが二律背反を乗り越え組織で機能するために

プレイングマネージャーの役割は、業績の達成(短期)と組織力の向上(中長期)を同時に求める高度な仕事です。難しさの本質は、重層的な二律背反構造にありました。

本コラムでは、その構造とその職務遂行に必要なスキル、限界を防ぐための実践策を整理しました。組織や状況により最適解は異なりますが、何らかのヒントを見出していただければ幸いです。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

監修者情報

加藤 隆(かとう たかし)

役職・保有資格 人事教育コンサルティング educom(エデュコム)代表
ヒューマンリレーションズ・ファシリテーター、ビジネスコーチ、NLPプラクティショナー、マインドフルネスコーチ、JDLA G 2020
プロフィール 経営コンサルティング企業、人材教育企業において経営コンサルティング全般、研修講師(ファシリテーター)、研修プログラム開発等に従事し、人事教育コンサルティングを主業務として1997年に独立。
2026年現在、人事制度構築支援、新人事制度導入・運用支援、研修プログラム開発、社内講師養成支援、研修実施など、組織の人的側面を主な対象としてサービスを提供している。
研修企画・実施回数は1,000回を超え、延べ受講者数は3万名超にのぼる。
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